毛焼き(けやき)とは、生地や糸の表面から出ている余分な毛羽を、炎や熱で焼いて取り除き、表面をすっきり整える加工です。
繊維加工では、毛焼きは「生地を燃やす加工」ではありません。
目的は、生地や糸そのものを燃やすことではなく、表面に飛び出した細かい毛羽だけを処理することです。
コール天・コーデュロイでは、カッチングや解毛の後に出た余分な毛羽を整え、畝の表面をきれいに見せるために毛焼きが関係する場合があります。
一方、一般的な整理加工でも、綿織物などの表面毛羽を焼いて、なめらかさ、光沢、プリント適性、見た目のすっきり感を高める目的で毛焼きが行われることがあります。
また、糸加工では、糸の表面毛羽をガス炎で焼く「ガス焼き」と呼ばれる加工があります。
ITomapでは、毛焼きを「生地や糸の表面に出た余分な毛羽を焼いて整える加工」として整理します。
(一言解説)毛焼きとは、生地や糸の表面に出た余分な毛羽を、炎や熱で焼いてすっきり整える加工です。簡単に言えば、表面から飛び出した細かい毛を焼いて、見た目や手触りを整える工程です。
特徴
毛焼きの特徴は、余分な毛羽を焼いて表面を整えることです。
主な特徴は以下の通りです。
・生地や糸の表面毛羽を処理する
・炎や熱を使う
・生地本体を燃やす加工ではない
・表面をすっきり見せる目的がある
・光沢やなめらかさに関係する場合がある
・プリントや染色の見え方に影響する場合がある
・コール天やコーデュロイでは畝の表面調整に関係する
・綿織物などの整理加工で行われることがある
・糸加工ではガス焼きと呼ばれることがある
・素材や加工条件によって注意が必要
毛焼きは、余分な毛羽を減らすことで表面をきれいに見せる加工です。
ただし、強く焼けばよいわけではありません。
焼きすぎると、生地や糸を傷めたり、風合いが変わったりする場合があります。
コール天・コーデュロイにおける毛焼き
コール天・コーデュロイでは、毛焼きは畝の表面を整える工程として関係する場合があります。
コーデュロイは、よこパイル糸を表面側に浮かせて織り込み、その浮いた部分をカッチングで切って畝を作る織物です。
しかし、カッチングでパイルを切り、解毛で毛をほぐした後には、表面に余分な毛羽が残ることがあります。
そのままだと、
・畝の表面がぼやける
・毛羽が多く見える
・表面が荒れて見える
・畝の山と谷がすっきり見えにくい
・製品にしたときに表情が雑に見える
といった場合があります。
そこで毛焼きによって、余分な毛羽を焼いて整えます。
コール天・コーデュロイにおける毛焼きは、畝の毛を全部なくすための加工ではありません。
必要な毛羽は残しながら、余分に飛び出した毛羽を処理し、コーデュロイらしい畝の表情を見えやすくするための工程です。
流れとしては、次のように理解するとわかりやすいです。
・よこパイル糸を織り込む
・カッチングでパイルを切る
・解毛で切った毛をほぐす
・毛焼きで余分な毛羽を整える
・染色や整理加工で風合い、幅、表面感を仕上げる
ITomap的には、コール天の毛焼きは「毛を消す工程」ではなく、「畝として必要な毛羽を見せるために、余分な毛羽を整理する工程」と考えるとわかりやすいです。
整理加工における毛焼き
毛焼きは、コール天・コーデュロイだけでなく、一般的な整理加工でも行われることがあります。
たとえば、綿織物などでは、生地表面に細かい毛羽が出ていることがあります。
この毛羽が多いと、
・表面がぼやけて見える
・プリント柄がはっきり見えにくい
・光沢が出にくい
・なめらかさが出にくい
・毛羽立ちやすく見える
・後加工の仕上がりに影響する
といった場合があります。
そこで、毛焼きによって表面の余分な毛羽を焼き、すっきりした表面に近づけます。
整理加工における毛焼きは、表面をなめらかに見せたり、光沢を出しやすくしたり、プリントや染色の見え方を整えたりする目的で関係します。
ただし、毛焼きが必要かどうかは、生地の種類や用途によって異なります。
毛羽感を残したい生地や、起毛感を活かしたい生地では、毛焼きが向かない場合もあります。
つまり、毛焼きは「毛羽をなくせばよい加工」ではなく、最終的にどんな表面にしたいかによって使い分ける加工です。
糸加工におけるガス焼きとの関係
糸加工では、毛焼きに近い加工として「ガス焼き」があります。
ガス焼きとは、糸をガス炎の中に通し、糸の表面から出ている毛羽を焼いて取り除く加工です。
ガス焼きを行うことで、糸表面がすっきりし、光沢感やなめらかさが出やすくなる場合があります。
たとえば、綿糸などで毛羽を抑えたい場合、ガス焼きが関係することがあります。
整理すると、次のようになります。
・毛焼き:生地や糸の表面毛羽を焼いて整える広い言い方
・生地の毛焼き:反物や生地の表面毛羽を処理する加工
・コール天の毛焼き:畝の表面に残る余分な毛羽を整える加工
・ガス焼き:糸をガス炎に通して、糸表面の毛羽を焼く加工
・ガス糸:ガス焼きによって毛羽を抑えた糸を指すことがある
初心者には、毛焼きは「生地側の表面処理」として聞くことが多く、ガス焼きは「糸側の表面処理」として聞くことが多い、と考えると整理しやすいです。
ただし、どちらも本質は近く、表面から飛び出した余分な毛羽を焼いて整える加工です。
毛焼き・ガス焼き・起毛の違い
毛焼き、ガス焼き、起毛は、どれも毛羽に関係する言葉ですが、目的が違います。
整理すると、次のようになります。
・毛焼き:生地や糸の余分な毛羽を焼いて整える加工
・ガス焼き:主に糸をガス炎に通して毛羽を焼く加工
・起毛:生地表面の繊維をかき出して毛羽を立てる加工
・解毛:カッチングで切ったパイルの毛をほぐして立たせやすくする工程
・剪毛:毛羽の長さを刈りそろえる加工
毛焼きとガス焼きは、余分な毛羽を減らす方向の加工です。
一方、起毛や解毛は、毛を立たせたり、ほぐしたりする方向の加工です。
つまり、
・毛焼き、ガス焼き:余分な毛羽を減らす
・起毛:毛羽を出す
・解毛:切った毛をほぐして立たせる
・剪毛:毛羽の長さをそろえる
と整理すると、違いが見えやすくなります。
コール天・コーデュロイでは、カッチングで毛羽を作り、解毛でほぐし、毛焼きで余分な毛羽を整えるというように、複数の工程がつながって表面が作られます。
ITomap的理解│初心者が誤解しやすいポイント
初心者が誤解しやすいのは、毛焼きを「生地を燃やす危ない工程」と考えてしまうことです。
たしかに毛焼きでは炎や熱を使います。
しかし、目的は生地そのものを燃やすことではありません。
生地や糸の表面から飛び出している細かい毛羽を処理し、表面を整えることが目的です。
もうひとつ誤解しやすいのは、毛焼きを「毛羽を全部なくす加工」と考えてしまうことです。
コール天・コーデュロイでは、必要な毛羽までなくしてしまえば、畝の表情が失われてしまいます。
大切なのは、必要な毛羽を残しながら、余分な毛羽を整えることです。
毛焼きは、
・表面をすっきりさせる
・余分な毛羽を減らす
・見た目を整える
・次工程や仕上がりを安定させる
ための加工です。
ITomap的には、毛焼きは「燃やす加工」ではなく、「表面から飛び出した余分な毛羽を焼いて、見た目・手触り・仕上がりを整える加工」と理解すると、整理加工やコール天加工との関係が見えやすくなります。
現場での使われ方
現場では、毛焼きは生地や糸の表面毛羽を整える加工として使われます。
たとえば、
・毛焼きします
・毛焼きをかけます
・毛焼き工程です
・毛羽を焼きます
・表面の毛羽を取ります
・毛焼きが強いです
・毛焼きが甘いです
・焼きすぎています
・表面が荒れています
・コール天の毛羽を整えます
・解毛後に毛焼きします
・ガス焼き糸を使います
・この糸はガス焼きされています
といった形で使われることがあります。
現場で「毛焼きが甘い」と言われる場合は、余分な毛羽が残っていて、表面がぼやけて見える状態を指すことがあります。
逆に「毛焼きが強い」と言われる場合は、焼きすぎによって風合いや表面感に影響している状態を指すことがあります。
毛焼きの話が出たときは、
・生地の毛焼きなのか
・糸のガス焼きなのか
・何の毛羽を整えたいのか
・毛羽を残したい生地なのか
・すっきりさせたい生地なのか
・次工程は染色なのか整理加工なのか
を確認すると理解しやすくなります。
補足
毛焼きは、素材や生地の種類によって向き不向きがあります。
綿や麻などのセルロース系繊維では、表面毛羽を焼いて整える加工として関係することがあります。
一方、合成繊維や混紡素材では、熱による溶融、硬化、風合い変化などに注意が必要な場合があります。
また、起毛品、パイル品、コール天、別珍など、毛羽や表面感そのものが価値になる生地では、どの毛羽を残し、どの毛羽を処理するかが重要になります。
毛焼きで見るべきポイントは、次のようなものです。
・余分な毛羽が取れているか
・焼きすぎていないか
・風合いが硬くなっていないか
・表面が荒れていないか
・焦げや変色がないか
・必要な毛羽まで失われていないか
・後の染色や整理加工に影響しないか
毛焼きは、単に強くかければよい加工ではありません。
素材、表面感、用途、次工程を見ながら条件を調整する必要があります。
関連用語・記事
記事
・コール天/コーデュロイとは何か|畝ができるまでを構造から理解する
・整理加工とは何か|なぜ生地は染めたあとに仕上げが必要なのかを構造から理解する
用語
・整理加工
・表面加工
・解毛
・畝
・パイル
・カットパイル
・別珍
・起毛
・剪毛
・ジッガー
・テンター
・乾燥
・風合い
・光沢
・生機
・染色
まとめ
毛焼きとは、生地や糸の表面から出ている余分な毛羽を、炎や熱で焼いて取り除き、表面をすっきり整える加工です。
目的は、生地や糸そのものを燃やすことではありません。
表面から飛び出した細かい毛羽を処理し、見た目、手触り、光沢、プリント適性、仕上がりを整えることです。
コール天・コーデュロイでは、カッチングや解毛の後に出た余分な毛羽を整え、畝の表面をきれいに見せるために毛焼きが関係する場合があります。
一般的な整理加工でも、綿織物などの表面毛羽を焼いて、なめらかさや光沢を出しやすくする目的で毛焼きが行われることがあります。
また、糸加工では、糸をガス炎に通して毛羽を焼く「ガス焼き」があります。
毛焼きとガス焼きは、対象が生地か糸かで使われ方が変わることがありますが、本質的には、余分な毛羽を焼いて表面を整える加工です。
ITomap的には、毛焼きは「燃やす加工」ではなく、「表面から飛び出した余分な毛羽を焼いて、必要な表面感を整える加工」と理解すると、コール天加工、整理加工、糸加工のつながりが見えやすくなります。

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