生機(きばた)

用語辞典

生機(きばた)とは、織り上がった後、まだ染色や整理加工をしていない生地の状態を指す言葉です。

織機から織り上がったばかりの生地には、糊、油分、不純物、汚れ、織りじわなどが残っている場合があります。

そのため生機は、最終製品としてそのまま使う生地というより、これから糊抜き、精練、晒し、染色、整理加工、仕上げ加工などを行う前の工程状態として扱われます。

ただし、生機の後工程は、生地が後染め用なのか、先染め織物なのかによって変わります。

生成りや晒しと混同されやすい言葉ですが、生機は「色」ではなく、「加工前の生地状態」を表す言葉です。

(一言解説)生機とは、織り上がった後、まだ染色や整理加工をしていない生地のことです。簡単に言えば、織物が加工工程に入る前の“未仕上げの生地”です。

特徴

生機は、染色整理加工前の生地状態を表す言葉です。

主な特徴は以下の通りです。

・織り上がった後の未加工状態を指す

染色整理加工の前段階で使われる言葉

・糊や油分が残っている場合がある

・生地幅や寸法がまだ整っていない場合がある

風合いが最終仕上がりとは異なる

・白生機の場合は生成りのように見えることがある

・先染め織物の場合は、柄や色が入った状態で生機になる

・そのまま最終製品として使うとは限らない

・加工後に見た目、幅、縮み、風合いが変わることがある

生機は、生地の完成品というより、染色整理加工へ渡す前の素材段階として理解するとわかりやすくなります。

ITomap的理解│初心者が誤解しやすいポイント

初心者が誤解しやすいのは、生機を「生成りの生地」や「白っぽい生地」と同じ意味で考えてしまう点です。

たしかに、白糸で織られた生機は、生成りのような色に見えることがあります。

しかし、生機は色名ではありません。

生機は、織り上がった後、まだ染色や整理加工をしていないという工程状態を表す言葉です。

また、先染め織物では、糸の段階で染めた色糸を使って織るため、チェック、ストライプ、シャンブレーなどの柄や色が入った状態で生機になります。

つまり、生機は「白い生地」とは限りません。

整理すると、次のようになります。

生機染色整理加工前の生地状態

生成り:素材本来に近い自然な色合い

・未晒し:まだ晒していない状態

晒し:不純物や色素を取り除き、白く清潔に整える工程や状態

・先染め生機:染めた糸で織り上げた後、まだ整理加工していない生地状態

ITomap的には、生機は「生成り色の生地」ではなく、「織った後、まだ染色整理加工に入っていない未仕上げの生地」として理解するとわかりやすいです。

生成り・晒し・未晒しとの違い

生機は、生成り、晒し、未晒しと混同されやすい言葉です。

それぞれの違いを整理すると、次のようになります。

・生機:織り上がった後、染色整理加工をしていない生地状態

・生成り:漂白や染色をしていない、素材本来に近い自然な色合い

・未晒し:まだ晒していない状態

・晒し:不純物や色素を取り除き、白く整える工程や状態

ここで大切なのは、生機は「色の名前」ではなく「工程上の状態」を表す言葉だという点です。

たとえば、白糸で織られた生機が生成りのような色に見えることはあります。

しかし、生成りは色合いを表す言葉であり、生機は加工前の状態を表す言葉です。

また、晒しは生機や未晒しの状態から、不純物や色素を取り除いて白く整える工程として関係します。

一方で、先染め織物の場合は、すでに糸の段階で染色されているため、生機の時点で柄や色が存在します。

そのため、生機、生成り、未晒し、晒しは、似た場面で出てきますが、見ている軸が違います。

・生機:工程状態の話

・生成り:色味の話

・未晒し:晒していない処理状態の話

・晒し:白く清潔に整える加工の話

・先染め:糸の段階で染めてから織る方法の話

として分けると、かなり理解しやすくなります。

生機から後工程への流れ

生機は、織り上がった時点の未仕上げの生地です。

そこから用途に応じて、さまざまな加工工程へ進みます。

代表的な流れとしては、次のような工程があります。

・検反

毛焼き

糊抜き

精練

晒し

染色

整理加工

・仕上げ加工

・最終検査

実際の工程順や内容は、素材、生地の種類、用途、工場、加工内容によって変わります。

たとえば、後染め用の白生機では、染色する前に糊や油分、不純物を落とす必要がある場合があります。

また、白い生地として使う場合でも、晒しや整理加工を行うことで、吸水性、白度、風合い、寸法などが整えられることがあります。

そのため、生機は「生地ができた状態」ではありますが、「製品に使える状態」まで仕上がっているとは限りません。

先染め織物の生機と加工

先染め織物とは、糸の段階で染めた色糸を使って織る織物です。

チェック、ストライプ、シャンブレー、ダンガリー、色糸を使った柄物などでは、先染め織物が関係することがあります。

先染め織物の場合、生機の時点ですでに色や柄が入っています。

そのため、後染め用の白生機のように「これから生地全体を染める」ことが主目的ではなく、織り上がった生地を製品に使いやすい状態へ整える加工が中心になります。

代表的には、次のような流れや加工があります。

・検反

毛焼き

糊抜き

・洗い

防縮加工

テンター加工

柔軟加工

・ナチュラルウォッシュ

乾燥

幅出し

・最終検査

先染め織物では、糸にすでに色が入っているため、加工では色そのものよりも、糊を落とすこと、縮みを安定させること、風合いを出すこと、生地幅を整えることなどが重要になります。

たとえば、防縮加工では、製品になった後の縮みを抑える目的で処理されることがあります。

ナチュラルウォッシュでは、洗いによって生地の硬さをほぐし、自然なシワ感ややわらかい風合いを出すことがあります。

テンター加工では、生地の幅や寸法を整える目的で使われることがあります。

柔軟加工では、手触りや着用感を調整することがあります。

ただし、先染め織物でも、素材、糸、組織、用途、狙う風合いによって加工内容は変わります。

また、強く洗えばよい、柔らかくすればよい、という単純なものではありません。

色落ち、色泣き、縮み、斜行風合い、表面感などを見ながら、加工条件を決める必要があります。

後染め用の生機と先染め生機の違い

生機といっても、後染め用の白生機と、先染め織物の生機では後工程の考え方が異なります。

違いを表で整理すると、次のようになります。

後染め用の白生機先染め織物の生機
織った後、生地の状態で染色する前提の生機染めた糸で織り上げた後、整理加工する前の生機
精練、晒し、染色、整理加工へと進むことが多い糊抜き、洗い、防縮、テンター、柔軟、ナチュラルウォッシュなどへ進むことがある
色は後工程の染色で決まる柄や色は糸染めと織り設計の段階で決まっている

どちらも生機ですが、加工の目的が少し違います。

後染め用の生機では、染色するために生地を整える工程が重要になります。

先染め織物の生機では、すでに色柄があるため、風合い、縮み、幅、表面感、製品適性を整える工程が重要になります。

ITomap的には、生機を「白くてこれから染める生地」とだけ覚えるのではなく、「織り上がった後、まだ仕上げ加工に入っていない生地状態」と理解すると、後染め用の生機にも先染め織物の生機にも対応しやすくなります。

現場での使われ方

現場では、生機は染色整理加工前の生地を指す言葉として使われます。

たとえば、

・生機が上がりました

・生機を検反します

・生機で出荷します

・生機反を加工場へ送ります

・生機の幅を確認します

・生機の段階でキズを確認します

・生機から染色に回します

・この先染め生機を洗いに回します

・生機のままだと風合いが硬いです

・生機と仕上がりでは幅が変わります

・この生機を晒しに回します

・先染めなので、防縮とナチュラルウォッシュで仕上げます

といった形で使われます。

特に織物では、生機の段階でキズ、汚れ、織段、糸切れ、耳の状態、柄のズレ、色糸の見え方などを確認することがあります。

また、生機の状態と加工後の状態では、幅、長さ、縮み、風合い、表面感が変わる場合があります。

そのため現場では、生機の状態だけで最終的な生地の仕上がりを判断しすぎないことが大切です。

補足│生機は”完成前の生地”であって”生成り商品”ではない

生機は、染色整理加工前の生地です。

そのため、白糸で織られた生機は、見た目が生成りのように見えることがあります。

しかし、生機は生成り商品そのものを意味するわけではありません。

生成りは、素材本来に近い自然な色合いを表す言葉です。

一方、生機は、織り上がった後、まだ加工されていない状態を表す言葉です。

また、生機のままでは、糊や油分、不純物が残っていたり、幅や風合いが整っていなかったりする場合があります。

生成り色の商品として販売される生地でも、実際には晒し、洗い、整理加工、柔軟加工、寸法安定のための加工などを受けていることがあります。

さらに、先染め織物では、生機の時点で色や柄が入っている場合があります。

つまり、生機は必ずしも白い生地ではありません。

ITomap的には、生機は「自然な色の完成品」ではなく、「これから染色・晒し・洗い・防縮・整理加工などを受ける前の、未仕上げの生地」として理解するとわかりやすいです。

関連用語・記事

記事

染色・整理加工とは何か|なぜ色を付けるだけでは終わらないのかを構造から理解する

整理加工とは何か|なぜ生地は染めたあとに仕上げが必要なのかを構造から理解する

用語

生成り

晒し

精練

糊抜き

毛焼き

染色

整理加工

テンター

防縮加工

柔軟加工

織物

編物

経糸

緯糸

サイジング

風合い

寸法安定性

まとめ

生機とは、織り上がった後、まだ染色や整理加工をしていない生地の状態を指す言葉です。

生成りのような色に見えることはありますが、生機は色名ではありません。

生成りが素材本来に近い自然な色合いを表すのに対して、生機は加工前の工程状態を表します。

また、未晒しはまだ晒していない状態、晒しは不純物や色素を取り除いて白く整える工程や状態を指します。

後染め用の白生機では、精練、晒し、染色、整理加工などへ進むことがあります。

一方、先染め織物の生機では、すでに糸の段階で色が入っているため、糊抜き、洗い、防縮加工、ナチュラルウォッシュ、テンター加工、柔軟加工などによって、風合い、縮み、幅、表面感を整えることがあります。

ITomap的には、生機は「生成り色の完成品」でも「白くてこれから染める生地」だけでもなく、「織った後、まだ染色整理加工や仕上げ加工に入っていない未仕上げの生地」と理解すると、生成り・晒し・先染め織物との違いがわかりやすくなります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました