鯨尺(くじらじゃく)

用語辞典

鯨尺(くじらじゃく)とは、反物(たんもの)や着物など、主に布を測るために使われてきた長さの基準です。

鯨尺では、

・1尺=約37.9cm

・1寸=約3.79cm

となります。

建築や大工仕事で使われてきた曲尺(かねじゃく)とは、同じ「尺」「寸」という言葉を使っていても、実際の長さが異なります。

鯨尺は、現在の取引表示にそのまま使用する単位というより、和裁、織物設計、過去の規格、産地内の会話などに残る、布のための「ものさし」として理解することが重要です。

(一言解説)鯨尺とは、布や着物を測るために使われてきた、1尺を約37.9cmとする長さの基準です。鯨尺の基本的な長さは、 1尺=10寸=約37.9cm 1寸=約3.79cm 1分=約3.79mmと、同じ「1尺」でも、曲尺の1尺とは長さが違います。そのため、設計書などに「1尺」「1寸」と書かれている場合は、鯨尺と曲尺のどちらを基準にしているのかを確認する必要があります。

鯨尺と曲尺の違い

曲尺(かねじゃく)とは、建築や大工仕事などで使われてきた長さの基準です。

曲尺は「かなじゃく」ではなく、「かねじゃく」と読みます。

鯨尺と曲尺の長さは、次のように異なります。

【鯨尺】

・1尺=約37.9cm

・1寸=約3.79cm

・主に反物、和裁、織物などで使われてきた

【曲尺】

・1尺=約30.3cm

・1寸=約3.03cm

・主に建築、木工、大工仕事などで使われてきた

鯨尺の1尺は、曲尺の1尺2寸5分に相当します。

つまり、

鯨尺の1尺は、曲尺の1尺の1.25倍です。

覚え方としては、

大工仕事の曲尺より、布を測る鯨尺の方が長い

と整理すると分かりやすくなります。

また、鯨尺の8寸は、曲尺の1尺とほぼ同じ長さです。

同じ「尺」「寸」という文字でも、どちらのものさしかによって基準が変わります。

特徴

鯨尺には、次のような特徴があります。

・1尺は約37.9cm

・1寸は約3.79cm

・曲尺よりも1尺、1寸が長い

・反物や着物など、布を測る分野で使われてきた

・和裁や織物の設計、過去の規格に残っている

・鯨寸を基準に、筬密度や糸密度を表す場合がある

・現在の取引表示では、cmやmなどとの区別が必要になる

鯨尺は、単なる古い長さの単位ではありません。

布をどのように測り、設計し、仕立ててきたかが残る、繊維分野特有の基準の一つです。

織物や和装で鯨尺が使われる理由

鯨尺は、反物や着物など、布を測るためのものさしとして使われてきました。

和裁では、

・反物の幅

・着物の丈

・袖丈

・裄(ゆき)

・裁断する位置

など、布の寸法を測りながら仕立てます。

そのため、和装の寸法、仕立て方、過去の記録には、鯨尺を基準とした考え方が残っています。

織物の現場でも、鯨寸を基準に、

・一定の長さの中に何本の糸が入るか

・筬(おさ)が一定の長さに何羽あるか

・生地をどの幅や長さで設計するか

を表す場合があります。

ただし、すべての織物産地や機屋(はたや)が鯨尺を使うわけではありません。

同じ産地内でも、

・鯨寸を基準にする機屋

・インチを基準にする機屋

・cmを基準にする機屋

・経糸側と緯糸側で異なる基準を使う機屋

が混在する場合があります。

使用する単位は、産地名だけで決まるのではなく、織物の品種、過去の設計書、筬や織機の規格、機屋ごとの設計方法によって変わります。

ITomap的理解│初心者が誤解しやすいポイント

初心者が最も誤解しやすいのは、

「尺」「寸」と書かれていれば、すべて同じ長さだと思ってしまうこと

です。

たとえば、1寸と書かれていても、

・鯨寸:約3.79cm

・曲寸:約3.03cm

では、約0.76cmの差があります。

1尺になると、その差は約7.6cmです。

織物の密度や生地幅を確認するとき、この違いを見落とすと、実際の本数や寸法が大きく変わる可能性があります。

また、古い設計書や筬には、インチを「吋」と表記する場合があります。

・寸=鯨寸または曲寸などの「すん」

・吋=インチ、2.54cm

であり、同じものではありません。

ITomap的には、「1寸は何cmか」と換算する前に、

その寸は、鯨寸なのか、曲寸なのか。それとも「吋」と書かれたインチなのかを確認することが重要です。

現場での使われ方

鯨尺や鯨寸は、現在も次のような場面で見かけることがあります。

・和裁や着物の寸法

・反物の幅や長さ

・過去の織物設計書

・筬の密度表示

・経糸密度や緯糸密度

・古い製造記録

・産地や工場内の会話

・過去の生地規格の再現

たとえば、

80本/鯨寸

と書かれていれば、1鯨寸、つまり約3.79cmの中に80本の糸があるという意味です。

これを1インチ当たり80本と読み違えると、実際の密度は異なります。

現場で「寸」「尺」という言葉が出てきたときは、数字だけで判断せず、どの基準を使用しているかを確認する必要があります。

現在の取引表示との関係

日本国内で長さを取引または証明に用いる場合は、原則としてmやcmなどの法定計量単位を使用します。

そのため、鯨尺を基準に設計された生地であっても、外部へ寸法を示すときは、

・生地幅:○cm

・長さ:○m

・密度:○本/cm

など、法定計量単位で表すことが基本です。

鯨尺や鯨寸を併記する場合は、cmやmなどを主たる表記とし、鯨尺による数値が参考値であることが分かる形にします。

一方、

・社内の工程管理

・過去の設計書の確認

・古い設備や筬との対応

・過去に作った生地の再現

など、取引や証明に当たらない内部的な用途では、鯨寸を基準とした数値が使われる場合があります。

つまり、鯨尺が完全に消えたのではなく、

外部へ伝える単位と、現場で設計を理解するための単位が使い分けられている

と考えると分かりやすくなります。

補足

鯨尺という名前は、かつて鯨のひげを使って物差しが作られたことに由来するとされています。

鯨尺は細かく曲げても戻りやすく、布に沿わせて測る道具の材料として用いられたと説明されることがあります。

ただし、現在「鯨尺」と呼ばれるものが、すべて鯨のひげで作られているという意味ではありません。

現在では、名称と長さの基準として「鯨尺」という言葉が残っています。

また、鯨尺は和装や織物に関係する単位ですが、布に関係するものが必ず鯨尺で設計されるとは限りません。

製品の用途、取引相手、設備、設計方法によっては、曲尺、インチ、cmなどが使われます。

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記事

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用語

・鯨寸

・曲尺

・曲寸

・尺貫法

・吋

・インチ

・筬

・筬密度

・打ち込み

・経糸密度

・緯糸密度

・反

・反物

まとめ

鯨尺とは、反物や着物など、主に布を測るために使われてきた長さの基準です。

基本となる長さは、

・1尺=約37.9cm

・1寸=約3.79cm

です。

建築や大工仕事で使われてきた曲尺では、

・1尺=約30.3cm

・1寸=約3.03cm

となり、同じ「尺」「寸」でも長さが異なります。

現在の取引表示では、mやcmなどの法定計量単位を使うことが基本です。

一方、和裁、織物設計、過去の記録、筬や設備の規格などには、鯨尺や鯨寸を基準とした考え方が残っています。

ITomap的には、鯨尺を理解するときに大切なのは、換算値だけを覚えることではありません。

誰が、何を測るために使っている「尺」なのかを確認することです。

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