樹脂加工(じゅしかこう)とは、生地に樹脂系の薬剤を付与し、シワ防止、形態安定、ハリ、コシ、寸法安定、風合い調整などを行う整理加工です。
樹脂加工は、綿や麻、レーヨンなどの天然繊維・再生繊維を含む生地で関係することがあります。
特に、シワになりやすい素材に対して、シワを付きにくくしたり、洗濯後の形を保ちやすくしたり、パリッとしたハリやコシを出したりする目的で使われます。
日常の商品では、次のようなものに関係することがあります。
・形態安定シャツ
・ノーアイロンシャツ
・シワになりにくい綿パンツ
・ハリのあるカーテン
・コシのあるバッグ用生地
・作業服
・ユニフォーム
・テーブルクロス
・インテリア用生地
・クラフト用のハリのある布
樹脂加工は、生地を単純に硬くする加工ではありません。
目的に応じて、シワを抑える、形を安定させる、ハリを出す、風合いを調整する、機能性を付けるなど、さまざまな役割があります。
ITomapでは、樹脂加工を「樹脂系の薬剤を使い、生地のシワ、形、ハリ、コシ、寸法、風合いなどを調整する整理加工」として整理します。
(一言解説)樹脂加工とは、生地に樹脂系の薬剤を付けて、シワ防止、形態安定、ハリ、コシ、風合いなどを調整する加工です。簡単に言えば、生地に薬剤で仕上げの性格を与え、扱いやすさや見た目を整える整理加工です。
特徴
樹脂加工の特徴は、樹脂系の薬剤によって、生地の性質や仕上がり感を調整することです。
主な特徴は以下の通りです。
・整理加工の一種である
・樹脂系の薬剤を使う
・シワを付きにくくする目的がある
・形態安定性を高める目的がある
・ハリやコシを出すことがある
・寸法安定に関係する場合がある
・風合いを調整する目的がある
・綿、麻、レーヨンなどで関係することがある
・衣料品、インテリア、資材用生地などに使われることがある
・加工条件によって硬さ、強度、風合いに影響する場合がある
樹脂加工は、薬剤を付ければすべて良くなる加工ではありません。
加工の目的、素材、生地組織、薬剤の種類、付着量、乾燥、熱処理、用途によって、仕上がりは変わります。
そのため、樹脂加工では「何のために樹脂を使うのか」を見ることが大切です。
なぜ樹脂加工をするのか
樹脂加工をする理由は、生地を使いやすく、扱いやすく、目的に合った状態へ整えるためです。
たとえば、綿のシャツは肌触りが良く、吸水性もありますが、シワになりやすいという特徴があります。
そのままだと、洗濯後にアイロンが必要だったり、着用中にシワが目立ったりする場合があります。
そこで樹脂加工を行うことで、シワを付きにくくしたり、洗濯後の形を保ちやすくしたりします。
樹脂加工によって期待される効果には、次のようなものがあります。
・シワを付きにくくする
・洗濯後の形を保ちやすくする
・アイロンがけを楽にする
・生地にハリを出す
・生地にコシを出す
・型崩れを抑える
・寸法を安定させる
・表面感を整える
・製品の見た目をきれいに保つ
・用途に合った風合いに近づける
樹脂加工は、見た目だけでなく、使用後や洗濯後の扱いやすさにも関係します。
日常で「このシャツはシワになりにくい」「このカーテンはハリがある」「この生地はしっかりしている」と感じる場合、樹脂加工が関係していることがあります。
日常の商品で見る樹脂加工
樹脂加工は、日常の商品で意外と多く使われています。
代表的な例を整理すると、次のようになります。
・形態安定シャツ
洗濯後にシワが付きにくく、アイロンがけを軽減する目的で樹脂加工が関係することがあります。
・ノーアイロンシャツ
完全にアイロン不要とは限りませんが、洗濯後のシワや形崩れを抑える目的で樹脂加工が使われることがあります。
・綿パンツ
着用中のシワや膝抜けを抑える目的で、樹脂加工が関係する場合があります。
・カーテン
ハリや形を保ち、吊ったときの見た目を整える目的で使われることがあります。
・テーブルクロス
シワや型崩れを抑え、見た目を整えやすくする目的で使われることがあります。
・作業服
洗濯後の形を保ちやすくしたり、シワを目立ちにくくしたりする目的で使われることがあります。
・バッグ用生地
ハリやコシを出し、形を保ちやすくする目的で樹脂加工が関係することがあります。
・インテリア用生地
見た目、ハリ、寸法、形状を安定させる目的で使われることがあります。
樹脂加工は、「高機能素材」だけに使われるものではありません。
日常の衣料品やインテリア品の中にも、扱いやすさや見た目を整えるために使われている場合があります。
どんな設備・工程で行うのか
樹脂加工は、生地に樹脂系の加工液を付け、乾燥や熱処理を行うことで仕上げる場合があります。
代表的な流れは、次のように考えられます。
・生地を準備する
・樹脂を含む加工液を付ける
・マングルで余分な液を絞る
・乾燥する
・テンターなどで熱処理する
・風合いや性能を確認する
加工液を生地に付ける方法としては、パディングが使われることがあります。
パディングとは、生地を薬液に通し、マングルで絞って薬剤を付ける方法です。
その後、テンターなどで乾燥や熱処理を行い、樹脂が生地に作用しやすい状態にします。
熱処理のことを、キュアと呼ぶ場合もあります。
ただし、実際の設備や工程は、工場、素材、薬剤、目的によって異なります。
反物の状態で加工する場合もあれば、製品の状態で加工する場合もあります。
樹脂加工では、薬剤を付けるだけでなく、付着量、絞り、乾燥、熱処理、風合い、強度、ホルムアルデヒドなどの安全性確認まで含めて管理することが重要です。
※パンディングは用語辞典「マングル」の中でも触れています。
樹脂加工で何が変わるのか
樹脂加工によって変わるのは、見た目、手触り、扱いやすさ、寸法安定性などです。
代表的には、次のような変化があります。
・シワが付きにくくなる
・洗濯後の形が保ちやすくなる
・生地にハリが出る
・生地にコシが出る
・型崩れしにくくなる
・表面が整って見える
・寸法が安定しやすくなる
・製品の見た目がきれいに保ちやすくなる
一方で、樹脂加工には注意点もあります。
加工条件によっては、次のような影響が出る場合があります。
・生地が硬くなる
・風合いが変わる
・吸水性が変わる
・通気性が変わる
・強度が低下する場合がある
・黄変する場合がある
・摩擦や洗濯で効果が変化する
・肌触りが変わる場合がある
樹脂加工は、効果と風合いのバランスが大切です。
シワを抑えたいからといって強く加工しすぎると、生地本来のやわらかさや自然な風合いが失われる場合があります。
そのため、用途に合わせて「どこまで効かせるか」を調整します。
形態安定・防シワ加工との関係
樹脂加工は、形態安定加工や防シワ加工と深く関係します。
特に綿素材では、シワを抑えるために樹脂加工が使われることがあります。
整理すると、次のようになります。
・樹脂加工
樹脂系の薬剤を使って、生地のシワ、ハリ、コシ、寸法、風合いなどを調整する広い加工です。
・防シワ加工
シワを付きにくくする目的の加工です。樹脂加工が関係する場合があります。
・形態安定加工
洗濯後や着用後に、形を保ちやすくする加工です。シャツなどでよく見かける言葉です。
・ノーアイロン加工
アイロンがけを軽減することを目的とした加工です。実際には完全にアイロン不要ではなく、製品や洗濯条件によって仕上がりが変わります。
つまり、樹脂加工は方法のひとつであり、防シワ加工や形態安定加工は目的や効果を表す言葉として使われることがあります。
初心者は、これらをすべて同じ言葉として覚えがちです。
しかし、樹脂加工は「薬剤を使った加工方法」、形態安定や防シワは「何を実現したいか」という目的として見ると整理しやすくなります。
樹脂加工とコーティングの違い
樹脂加工は、コーティングと混同されることがあります。
どちらも樹脂や薬剤が関係する場合がありますが、考え方は異なります。
・樹脂加工
生地に樹脂系の薬剤を付与し、シワ防止、ハリ、コシ、風合い、寸法安定などを調整する整理加工です。
・コーティング
生地表面に樹脂や膜をのせ、水を通しにくくしたり、風を通しにくくしたり、機能を付与したりする加工です。
樹脂加工は、生地の風合いや性質を整える目的で使われることが多いです。
コーティングは、生地表面に膜を作ることで、防水性、防風性、遮光性などの機能を与える場合があります。
ただし、現場や商品説明では、樹脂を使った加工を広く樹脂加工と呼ぶこともあります。
そのため、樹脂加工という言葉が出たときは、
・シワ防止のためなのか
・ハリやコシを出すためなのか
・防水や防風のためなのか
・表面に膜を作る加工なのか
・風合い調整なのか
を確認することが重要です。
ITomap的理解│初心者が誤解しやすいポイント
初心者が誤解しやすいのは、樹脂加工を「生地をプラスチックのように固める加工」と考えてしまうことです。
樹脂加工では、たしかに樹脂系の薬剤を使います。
しかし、目的は生地を単純に硬くすることではありません。
シワを抑える、形を保ちやすくする、ハリやコシを出す、寸法を安定させる、風合いを調整するなど、用途に応じて役割が変わります。
もうひとつ誤解しやすいのは、樹脂加工をすれば必ず扱いやすくなると考えることです。
樹脂加工は、効果と引き換えに風合い、強度、吸水性、通気性、肌触りなどに影響する場合があります。
そのため、加工の強さや薬剤の種類は、用途に合わせて調整されます。
ITomap的には、樹脂加工は「生地を固める加工」ではなく、「樹脂系の薬剤で、シワ・形・ハリ・コシ・風合いなどを目的に合わせて調整する整理加工」と理解すると、日常の商品とのつながりが見えやすくなります。
現場での使われ方
現場では、樹脂加工は防シワ、形態安定、ハリ出し、風合い調整などと関係して使われます。
たとえば、
・樹脂加工します
・樹脂をかけます
・樹脂を入れます
・樹脂仕上げです
・樹脂加工品です
・防シワ目的です
・形態安定です
・ノーアイロン対応です
・ハリを出します
・コシを出します
・風合いを調整します
・マングルで絞ります
・テンターで乾燥します
・キュアします(熱処理をしますと同義)
・樹脂が強いです
・風合いが硬いです
・強力低下を確認します
・黄変がないか見ます
・ホルムアルデヒドを確認します
・洗濯後の効果を見ます
といった形で使われることがあります。
現場で樹脂加工の話が出たときは、
・何の目的で樹脂を使うのか
・シワ防止なのか
・ハリやコシを出したいのか
・寸法安定が目的なのか
・風合いへの影響は許容できるか
・洗濯後も効果が必要か
・強度低下はないか
・安全基準に問題がないか
・用途に合った加工条件か
を確認すると理解しやすくなります。
補足
樹脂加工では、目的に合った効果を出すだけでなく、生地本来の良さを残すことも重要です。
たとえば、綿シャツでシワを抑えたい場合でも、硬すぎると着心地が悪くなります。
カーテンでハリを出したい場合でも、硬くなりすぎると自然なドレープが出にくくなることがあります。
バッグ用生地でコシを出したい場合は、ある程度の硬さが求められることもあります。
つまり、樹脂加工の良し悪しは、単純に「効いているかどうか」だけでは判断できません。
用途に対して、ちょうどよい風合いになっているかを見る必要があります。
樹脂加工を見るときのポイントは、次のようなものです。
・目的はシワ防止か
・目的は形態安定か
・目的はハリやコシ出しか
・風合いが硬くなりすぎていないか
・生地の強度に影響していないか
・洗濯後も効果が残るか
・黄変や変色がないか
・肌に触れる用途として問題ないか
・ホルムアルデヒドなどの安全性確認が必要か
・他の加工との相性はよいか
樹脂加工は、効果だけでなく、風合い、見た目、耐久性、安全性を含めて考える加工です。
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記事
・整理加工とは何か|なぜ生地は染めたあとに仕上げが必要なのかを構造から理解する
用語
・整理加工
・樹脂
・樹脂仕上げ
・防シワ加工
・形態安定加工
・ノーアイロン加工
・風合い
・寸法安定
・防縮加工
・撥水加工
・コーティング
・ラミネート
・助剤
・加工剤
・パディング(マングル内で解説)
・マングル
・テンター
・キュア(熱処理と同義)
・乾燥
・生機
・染色
・強力低下
・黄変
・ホルムアルデヒド
まとめ
樹脂加工とは、生地に樹脂系の薬剤を付与し、シワ防止、形態安定、ハリ、コシ、寸法安定、風合い調整などを行う整理加工です。
日常の商品では、形態安定シャツ、ノーアイロンシャツ、綿パンツ、カーテン、バッグ用生地、作業服、ユニフォーム、テーブルクロスなどで関係することがあります。
樹脂加工は、生地を単純に硬くする加工ではありません。
目的に応じて、シワを抑える、形を保ちやすくする、ハリを出す、コシを出す、風合いを整えるなど、さまざまな役割があります。
代表的な工程では、生地に樹脂を含む加工液を付け、マングルで絞り、乾燥やテンターでの熱処理を行います。
ただし、実際の工程は素材、薬剤、工場、用途によって変わります。
樹脂加工は効果が大きい一方で、風合いの硬化、強度低下、吸水性や通気性の変化、黄変、安全性確認などに注意が必要な場合があります。
そのため、樹脂加工を見るときは、「何のために樹脂を使うのか」「風合いや性能とのバランスは適切か」を確認することが大切です。
ITomap的には、樹脂加工は「生地を固める加工」ではなく、「樹脂系の薬剤で、シワ・形・ハリ・コシ・風合いなどを目的に合わせて調整する整理加工」と理解すると、日常の商品と染色・整理加工のつながりが見えやすくなります。

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