撥水加工(はっすいかこう)

用語辞典

撥水加工(はっすいかこう)とは、生地の表面が水を弾きやすくなるように処理する加工です。

撥水加工された生地では、水滴が生地表面にすぐ染み込まず、玉のようになって転がりやすくなります。

日常では、次のような商品で見かけることがあります。

・傘

・レインウェア

・アウトドアジャケット

・ウインドブレーカー

・バッグ

・リュック

・帽子

・作業服

・テーブルクロス

・ベビーカーのカバー

・靴やスニーカーの一部素材

撥水加工は、水を完全に通さない加工ではありません。

水を弾きやすくする加工です。

そのため、強い雨、長時間の水濡れ、圧力がかかった状態では、水が染み込む場合があります。

ITomapでは、撥水加工を「生地表面に水が広がりにくく、玉状になって弾かれやすい状態にする整理加工」として整理します。

(一言解説)撥水加工とは、生地表面に水が染み込みにくく、玉状になって弾かれやすくなるようにする加工です。簡単に言えば、生地の表面で水滴が広がらず、ころころ転がりやすくなる加工です。

特徴

撥水加工の特徴は、生地表面で水を弾きやすくすることです。

主な特徴は以下の通りです。

・水滴が生地表面で玉状になりやすい

・水がすぐに染み込みにくくなる

・雨具やアウトドア用品に使われることがある

・バッグや帽子などにも使われることがある

・生地の通気性を残しやすい場合がある

・防水加工とは意味が異なる

・洗濯や摩擦で効果が落ちることがある

・薬剤の種類や加工条件によって性能が変わる

・撥油性や防汚性と関係する場合がある

・フッ素系、非フッ素系などの薬剤選定が関係する場合がある

撥水加工は、雨や水滴に対して生地を扱いやすくする加工です。

ただし、撥水加工をしているからといって、どんな水濡れにも耐えられるわけではありません。

なぜ撥水加工をするのか

撥水加工をする理由は、水濡れによる不快感や汚れ、扱いにくさを減らすためです。

生地に水がすぐ染み込むと、次のようなことが起こります。

・服が重くなる

・肌に貼りついて不快になる

・乾きにくくなる

・雨ジミが出る

・汚れが付きやすくなる

・バッグの中身が濡れる

・作業時に動きにくくなる

撥水加工をすると、水滴が生地表面で弾かれやすくなるため、軽い雨や水はねに対して扱いやすくなります。

たとえば、傘の表面で雨粒が丸くなって転がる状態を思い浮かべると、撥水加工のイメージがつかみやすくなります。

また、アウトドアジャケットやウインドブレーカーでは、軽い雨を弾きながら、生地の軽さや動きやすさを保つ目的で撥水加工が使われることがあります。

撥水加工は、「水を完全に止める」というより、「水が生地に入り込む前に表面で逃がしやすくする」加工です。

どんな設備・工程で行うのか

撥水加工は、生地に撥水剤を付け、乾燥や熱処理を行うことで仕上げる場合があります。

代表的な流れは、次のように考えられます。

・生地を準備する

・撥水剤を含む加工液を付ける

マングルで余分な液を絞る

乾燥する

テンターなどで熱処理する

・撥水性を確認する

加工液を生地に付ける方法としては、パディングが使われることがあります。

パディングとは、生地を薬液に通し、マングルで絞って薬剤を付ける方法です。

その後、テンターなどで乾燥や熱処理を行い、撥水剤が生地表面で働きやすい状態にします。

ただし、実際の設備や工程は、工場、素材、薬剤、用途によって異なります。

製品の状態でスプレー加工のように処理する場合もあれば、反物の状態で整理加工として行う場合もあります。

染色整理加工の現場では、撥水加工は「薬剤を付けて終わり」ではなく、薬剤の付き量、絞り、乾燥、熱処理、風合い、性能確認まで含めて考える加工です。

※パディングは用語辞典「マングル」の中でも触れています。

撥水加工と防水加工の違い

撥水加工と防水加工は、日常では混同されやすい言葉です。

しかし、意味は違います。

撥水加工は、水を弾きやすくする加工です。

防水加工は、水を通しにくくする加工です。

整理すると、次のようになります。

撥水加工防水加工
生地表面で水を弾き、水滴が玉状になりやすくする加工です。水が生地の裏側へ通りにくくする加工です。コーティング、ラミネート、フィルムなどが関係する場合があります。
軽い雨や水はねに対応しやすい加工です。雨を通しにくくする性能が重視される加工です。
水は弾きやすいが、長時間や強い圧力では染み込む場合があります。水を通しにくい一方で、通気性や風合いに影響する場合があります。

たとえるなら、撥水加工は「水を表面でころがす加工」です。

防水加工は「水が裏側へ通らないように壁を作る加工」です。

どちらが優れているというより、目的が違います。

軽さや通気性を重視するなら撥水加工が向く場合があり、強い雨や水圧に耐える必要があるなら防水性能が重要になります。

日常の商品で見る撥水加工

撥水加工は、日常の商品で多く見かけます。

代表的な例を整理すると、次のようになります。

・傘

雨粒が表面で丸くなり、振ると水滴が落ちやすい状態です。

・レインウェア

軽い雨を弾き、服の表面が濡れにくくなるように使われます。

・アウトドアジャケット

雨や霧を弾きながら、動きやすさや軽さを保つ目的で使われます。

・ウインドブレーカー

水はねや小雨に対応しやすくするために使われることがあります。

・リュックやバッグ

表面で水を弾き、荷物が濡れにくくなるように使われることがあります。

・帽子

雨や水はねを受けても、表面で水を弾きやすくします。

・テーブルクロス

飲み物をこぼしたときに、すぐ染み込みにくくする目的で使われることがあります。

・作業服

屋外作業や水を使う現場で、軽い水濡れを避ける目的で使われることがあります。

日常で「水を弾く」と感じる商品には、撥水加工が関係している場合があります。

ただし、撥水加工品でも、使い続けるうちに水が弾きにくくなることがあります。

撥水加工の効果が落ちる理由

撥水加工は、使用や洗濯によって効果が低下する場合があります。

理由としては、次のようなものがあります。

・洗濯で撥水剤が落ちる

・摩擦で表面が乱れる

・汚れが付着して水が広がりやすくなる

・柔軟剤や洗剤成分が表面に残る

・アイロンや乾燥条件で状態が変わる

・長期間の使用で薬剤の効果が弱くなる

撥水加工は、生地表面の状態が大切です。

表面に汚れや洗剤残りがあると、水滴がきれいに玉状にならず、じわっと広がることがあります。

また、摩擦で表面が削れたり、毛羽立ったりすると、撥水性が低下することがあります。

そのため、撥水加工品では、洗濯表示や取り扱い方法を確認することが重要です。

製品によっては、洗濯後に乾燥や熱を加えることで撥水性が回復しやすくなる場合もあります。

ただし、すべての撥水加工品に当てはまるわけではないため、製品ごとの取り扱い表示を確認する必要があります。

撥水・撥油・防汚との関係

撥水加工は、水を弾きやすくする加工です。

一方で、撥油(はつゆ)や防汚(ぼうお)という言葉もあります。

これらは似ていますが、対象が少し違います。

・撥水

水を弾きやすくすることです。

・撥油

油を弾きやすくすることです。

・防汚

汚れが付きにくい、または落ちやすい状態にすることです。

水と油では性質が違うため、水を弾く加工が、そのまま油汚れにも強いとは限りません。

たとえば、水滴は玉になって弾くのに、油汚れは染み込みやすいという場合もあります。

フッ素系の撥水撥油加工では、水だけでなく油にも対応しやすい場合があります。

一方で、非フッ素系の撥水加工では、撥水性を重視しつつ、環境対応や用途に合わせて選ばれる場合があります。

撥水加工を見るときは、「水を弾くのか」「油も弾くのか」「汚れを防ぎたいのか」を分けて考えるとわかりやすくなります。

ITomap的理解│初心者が誤解しやすいポイント

初心者が誤解しやすいのは、撥水加工を「水を絶対に通さない加工」と考えてしまうことです。

撥水加工は、水を弾きやすくする加工です。

水を完全に通さない防水加工とは違います。

軽い雨や水滴には効果があっても、長時間の雨、強い水圧、摩擦、縫い目、経年劣化などによって水が染み込む場合があります。

もうひとつ誤解しやすいのは、撥水加工の効果が永久に続くと思ってしまうことです。

撥水性は、洗濯、摩擦、汚れ、使用環境によって低下する場合があります。

撥水加工品は、使い方やメンテナンスによって性能の持ち方が変わります。

ITomap的には、撥水加工は「水を止める壁を作る加工」ではなく、「生地表面で水滴を弾き、染み込みにくくする加工」と理解すると、防水加工との違いが見えやすくなります。

現場での使われ方

現場では、撥水加工は整理加工や機能加工の一つとして使われます。

たとえば、

・撥水加工します

・撥水をかけます

・撥水剤を入れます

・パディングで撥水剤を付けます

マングルで絞ります

テンターで乾燥します

・キュアします(熱処理します。と同義)

・撥水性を確認します

・水を弾いています

・撥水が甘いです

・水が広がっています

・撥水が落ちています

・洗濯後の撥水を見ます

・摩擦後の撥水を確認します

・非フッ素系で対応します

・風合いが硬くなっていないか見ます

・白化やムラがないか確認します

といった形で使われることがあります。

現場で撥水加工の話が出たときは、

・何に対して撥水したいのか

・反物加工なのか製品加工なのか

・フッ素系か非フッ素系か

・洗濯後も性能が必要か

・摩擦後の性能を見る必要があるか

・風合いや通気性に影響しないか

・防水性能まで必要なのか

・撥油性や防汚性も必要なのか

を確認すると理解しやすくなります。

補足

撥水加工では、水を弾く性能だけでなく、風合いや見た目も重要です。

撥水剤の種類や加工条件によっては、生地が硬く感じたり、表面感が変わったりすることがあります。

また、濃色品では白っぽく見える、ムラに見える、摩擦で跡が出るといった点に注意が必要な場合があります。

撥水加工を見るときのポイントは、次のようなものです。

・水滴が玉状になるか

・水が広がらないか

・洗濯後も効果が残るか

・摩擦後も効果が残るか

・風合いが変わりすぎていないか

・通気性や着心地に影響しないか

・白化やムラが出ていないか

・用途に合った撥水性か

・防水性能まで必要か

・撥油性や防汚性も必要か

撥水加工は、ただ水を弾けばよい加工ではありません。

衣料品であれば着心地や風合い、バッグであれば耐久性、傘であれば水切れなど、用途ごとに求められる性能が変わります。

そのため、撥水加工は「どのくらい水を弾くか」だけでなく、「どの用途で、どの状態まで性能を保ちたいか」を見ることが大切です。

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記事

整理加工とは何か|なぜ生地は染めたあとに仕上げが必要なのかを構造から理解する

用語

整理加工

・機能加工

・撥水

・防水加工

・耐水性

・撥油

・防汚加工

助剤

・撥水剤

・パディング (用語辞典「マングル」内で解説)

マングル

テンター

・キュア(熱処理と同義)

乾燥

・コーティング

・ラミネート

・透湿防水

風合い

堅牢度

洗濯堅牢度

生機

染色

・後加工

・非フッ素系撥水

・フッ素系撥水

まとめ

撥水加工とは、生地表面に水が染み込みにくく、玉状になって弾かれやすくなるようにする加工です。

日常では、傘、レインウェア、アウトドアジャケット、バッグ、リュック、帽子、テーブルクロス、作業服などで見かけることがあります。

撥水加工は、水を完全に通さない加工ではありません。

水を弾きやすくする加工であり、防水加工とは意味が異なります。

防水加工が水を通しにくくする加工であるのに対し、撥水加工は生地表面で水滴を弾き、染み込みにくくする加工です。

撥水加工は、パディング、マングルテンター乾燥、熱処理などの工程と関係する場合があります。

また、使用や洗濯、摩擦、汚れによって効果が低下する場合があります。

そのため、撥水加工品では、洗濯後や使用後の性能、風合い、通気性、撥油性、防汚性なども含めて確認することが大切です。

ITomap的には、撥水加工は「水を止める壁を作る加工」ではなく、「生地表面で水滴を弾き、染み込みにくくする加工」と理解すると、日常の商品と染色整理加工のつながりが見えやすくなります。

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