色合わせとは、染色整理加工で、生地や糸を指定された色見本や標準色に近づけるために、染料の配合や加工条件を調整し、色を確認する作業です。
染色は、ただ染料を入れれば指定通りの色になるわけではありません。
素材、糸、生地、染料、薬剤、温度、時間、機械、ロット、後加工などによって、色の出方は変わります。
そのため、本番で染める前に、試験室で小さなサンプルを染めたり、ビーカー試験を行ったりして、目標の色に近づけていきます。
このとき行われるのが色合わせです。
色合わせでは、
・色見本に近いか
・濃いか薄いか
・赤味が強いか
・青味が強いか
・黄味が強いか
・光の種類で見え方が変わらないか
・本番染色で再現できそうか
・後加工後も目的の色に見えるか
などを確認します。
ITomapでは、色合わせを「指定された色に近づけるために、染料配合・条件・見え方を確認し、本番染色につなげる作業」として整理します。
(一言解説)色合わせとは、指定された色見本や標準色に近づけるために、染料配合や加工条件を調整し、サンプルや本番品の色を確認する作業です。簡単に言えば、「この色で合っていますか?」を、感覚だけでなく、試験、経験、条件、承認を通して詰めていく作業です。
特徴
色合わせの特徴は、目標の色に対して、染料や条件を調整しながら確認することです。
主な特徴は以下の通りです。
・色見本や標準色を基準にする
・試験室で小さく染めることがある
・ビーカー試験と関係する
・染料配合を調整する
・濃度、色味、明るさを確認する
・客先や社内の承認が関係する
・本番染色で再現できるかが重要になる
・光源によって見え方が変わることがある
・後加工後の色変化も考える必要がある
・量産では反物ごとの色ブレにも注意する
色合わせは、単に「似た色を作る作業」ではありません。
最終的に、製品や反物として出せる色かどうかを確認するための重要な作業です。
なぜ色合わせが必要なのか
色合わせが必要なのは、染色では同じ染料を使っても、必ず同じ見え方になるとは限らないからです。
たとえば、同じ色を狙っても、
・素材が違う
・糸の太さが違う
・生地の組織が違う
・精練や前処理の状態が違う
・染料の吸い方が違う
・染色機が違う
・染色温度や時間が違う
・乾燥や整理加工で見え方が変わる
・ロットによって生地の状態が違う
といった理由で、色の出方は変わります。
紙の上で見た色、画面で見た色、小さな試験布で見た色、本番の反物で見た色は、同じように見えるとは限りません。
特に染色整理加工では、色は工程の途中でも変わります。
濡れているときの色、乾いた後の色、テンターやカレンダーなどの整理加工後の色では、見え方が変わることがあります。
そのため、色合わせは「染める前の確認」でありながら、「仕上がった後の見え方を想像する作業」でもあります。
ITomap的には、色合わせは「指定色に似せる作業」ではなく、「本番工程を通っても、最終的にその色として出せるかを詰める作業」と考えると、重要性が見えやすくなります。
試験室との関係
色合わせは、試験室と深く関係します。
試験室とは、本番染色の前に、小さな生地や糸を使って染色条件や染料配合を確認する場所です。
本番でいきなり大量の反物を染めると、色が合わなかったときの損失が大きくなります。
そのため、まず試験室で小さく染めて、目標の色に近づけます。
一般的な流れとしては、次のように考えられます。
・客先や社内から色見本、標準色、指定色が出る
・試験室で染料配合を考える
・ビーカー試験で小さなサンプルを染める
・色見本と比べる
・赤味、青味、黄味、濃度などを調整する
・再度サンプルを染める
・承認用の色見本として提出する
・OKが出た配合や条件を本番染色へつなげる
試験室での色合わせは、いわば本番染色の設計図作りです。
ただし、試験室で合った色が、そのまま本番でも完全に同じになるとは限りません。
小さなビーカーと、大きな染色機では、液量、生地量、温度のかかり方、機械の動き、染料の回り方が違うからです。
そのため、試験室の色合わせは重要ですが、本番染色ではまた別の難しさがあります。
誰がOKを出すのか
色合わせで誰がOKを出すかは、仕事の流れや取引形態によって変わります。
大きく分けると、試験段階のOKと、本番品のOKがあります。
試験段階では、試験室で染めた色見本やラボサンプルを、客先、商社、アパレル、メーカー、社内担当者などが確認し、承認する場合があります。
本番染色では、承認された色見本や標準色と比べて、工場側の現場、試験室、検査担当、品質管理担当などが確認します。
整理すると、次のようになります。
・色を指定する人:客先、アパレル、商社、メーカー、企画担当など
・試験で色を作る人:試験室、染色技術担当など
・試験色を確認する人:客先、社内担当、営業、品質担当など
・本番で色を見る人:染色現場、試験室、検査担当、品質管理担当など
・最終的に出荷判断する人:工場、品質管理、客先規格に関わる担当者など
現場で難しいのは、「誰が見ても同じ色に見える」とは限らないことです。
同じサンプルでも、見る人、見る場所、見る光、背景、時間帯によって印象が変わる場合があります。
そのため、色合わせでは、承認された色見本や標準色を基準にしながら、どの範囲まで許容されるかを確認することが大切です。
ITomap的には、色合わせのOKは「一人がなんとなく良いと言うこと」ではなく、「標準色や承認色に対して、関係者が出荷できる範囲だと判断すること」と理解すると、現場に近づきます。
色合わせの何が大変なのか
色合わせが大変なのは、色がとても小さな差で判断されるからです。
初心者のうちは、同じような色に見えても、現場では、
・少し赤い
・少し青い
・少し黄色い
・少し濃い
・少し薄い
・少しくすんでいる
・少し明るい
・少し暗い
といった違いを見ます。
しかも、その違いは単純に染料を足せば解決するとは限りません。
たとえば、赤味を少し足すと、全体が暗く見えることがあります。
濃度を上げると、目的の色味からずれることがあります。
青味を抑えたつもりが、黄味が強く見えることもあります。
色合わせは、絵の具のように単純に混ぜれば終わる作業ではありません。
染料は素材に吸着し、染色条件や後加工によって見え方が変わります。
さらに、本番では試験室とは違う条件になります。
色合わせが大変な理由は、次のように整理できます。
・人の目で見る判断が関係する
・光源によって色が違って見える
・試験室と本番染色で差が出る
・素材やロットで色の吸い方が変わる
・後加工で色の見え方が変わる
・濡れた状態と乾いた状態で色が違う
・濃度と色味の調整が単純ではない
・客先の許容範囲が仕事ごとに違う
・納期の中で修正しなければならない
・一度染めたものを完全に戻すのは難しい
ITomap的には、色合わせは「色を当てる作業」というより、「素材、染料、工程、人の判断のズレを、出荷できる範囲に収めていく作業」と考えると、現場の大変さが見えやすくなります。
色見本・標準色・限度見本
色合わせでは、基準になる色が重要です。
基準があいまいだと、何に合わせればよいのかが分からなくなります。
よく関係する言葉には、色見本、標準色、限度見本などがあります。
・色見本:目標となる色を示す見本
・標準色:この色に合わせるという基準色
・承認色:試験やサンプルでOKが出た色
・限度見本:ここまでなら許容できるという色差の範囲を示す見本
色合わせでは、「近い色」だけでは足りない場合があります。
どの色を基準にするのか、どこまでのズレなら許容されるのかが重要です。
たとえば、同じネイビーでも、赤味のネイビー、青味のネイビー、黒っぽいネイビーでは印象が変わります。
「ネイビーでお願いします」だけでは、現場はかなり困ります。
色見本や標準色があることで、染める側は目標を持って色合わせできます。
限度見本があると、少し色がブレたときに、出荷できる範囲かどうかを判断しやすくなります。
ITomap的理解│初心者が誤解しやすいポイント
初心者が誤解しやすいのは、色合わせを「指定された色をそのまま再現する作業」と考えてしまうことです。
もちろん、目標は指定色に近づけることです。
しかし実際には、素材、染料、機械、工程、光、見る人によって色の見え方は変わります。
そのため、色合わせでは「完全に同じ色を魔法のように作る」というより、「基準色に対して、許容できる範囲まで近づける」ことが重要になります。
もうひとつ誤解しやすいのは、試験室でOKが出れば本番も必ず同じになると思ってしまうことです。
試験室のビーカー試験と、本番の染色機では条件が違います。
小さな鍋で料理した味と、大きな釜で大量に作った味が微妙に変わるように、小さく染めた色と大量に染めた色では差が出ることがあります。
しかも染色では、その差が「少し赤い」「少し薄い」といった形でシビアに見られます。
ITomap的には、色合わせは「色を似せる作業」ではなく、「試験室、本番染色、仕上げ、検査、承認の間で、色を出荷できる範囲に収める作業」と理解すると、染色整理加工の現場感がつかみやすくなります。
現場での使われ方
現場では、色合わせは染色前、試験段階、本番染色後、検査時など、さまざまな場面で使われます。
たとえば、
・色合わせします
・色を合わせます
・色出しします
・ビーカーで色を出します
・試験室に色合わせを依頼します
・この色でOKです
・客先OKが出ました
・承認色に合わせます
・標準色と見比べます
・少し赤いです
・青味が強いです
・黄味に振っています
・濃度が足りません
・少し濃いです
・もう少し明るくします
・色ブレしています
・ロット差があります
・反末と反始で色が違います
・光源を変えて見ます
・限度内です
・これは限度外です
といった形で使われることがあります。
現場で色合わせの話が出たときは、
・何の色見本に合わせるのか
・試験段階なのか本番品なのか
・客先承認が必要なのか
・どの光源で見るのか
・許容範囲はどこまでか
・後加工後の色なのか
・ロット差や反内差があるのか
を確認すると理解しやすくなります。
補足
色合わせでは、光源も重要です。
同じ生地でも、太陽光、蛍光灯、LED、店舗照明では色の見え方が変わる場合があります。
ある光では合って見えるのに、別の光では少し違って見えることもあります。
このように、光源によって色の見え方が変わる現象は、色合わせを難しくする大きな要素です。
また、生地の表面感によっても色は変わって見えます。
たとえば、
・毛羽がある生地
・光沢がある生地
・畝がある生地
・起毛している生地
・カレンダー加工された生地
・濡れている生地
・乾いた生地
では、同じ染料でも見え方が変わることがあります。
コール天・コーデュロイのように畝や毛羽がある生地では、見る方向によって色の濃淡が変わって見える場合もあります。
そのため、色合わせでは、単に染料配合だけでなく、生地表面、仕上げ、見る条件まで含めて考える必要があります。
関連用語・記事
記事
・染色・整理加工とは何か|なぜ色を付けるだけでは終わらないのかを構造から理解する
・整理加工とは何か|なぜ生地は染めたあとに仕上げが必要なのかを構造から理解する
用語
・染色
・整理加工
・試験室
・堅牢度
・ジッガー
・テンター
・乾燥
・風合い
まとめ
色合わせとは、染色整理加工で、生地や糸を指定された色見本や標準色に近づけるために、染料の配合や加工条件を調整し、色を確認する作業です。
染色では、同じ染料を使っても、素材、ロット、機械、温度、時間、前処理、後加工によって色の出方が変わります。
そのため、本番染色の前に、試験室でビーカー試験を行い、色見本に近づける作業が行われることがあります。
色合わせでは、試験室で色を作り、客先や社内担当が確認し、承認された色を基準に本番染色へ進む流れがあります。
ただし、試験室で合った色が本番でも完全に同じになるとは限りません。
本番染色では、染色機、生地量、温度、液の回り方、後加工などが変わるため、色の見え方に差が出ることがあります。
色合わせが大変なのは、色が「少し赤い」「少し青い」「少し濃い」「少し薄い」といった細かな差で判断されるからです。
また、誰が見るか、どの光で見るか、どの色見本を基準にするかによっても判断が変わる場合があります。
ITomap的には、色合わせは「色を似せる作業」ではなく、「試験室、本番染色、仕上げ、検査、承認の間で、色を出荷できる範囲に収める作業」と理解すると、染色整理加工の現場感がつかみやすくなります。

コメント