糊付け(のりづけ)

用語辞典

糊付けとは、糸や生地に糊剤を付けて、扱いやすさ、張り、強度、風合いなどを調整する加工です。

繊維の現場でいう糊付けは、文房具の糊のように「何かを貼り付ける」ためだけのものではありません。

糸を織りやすくするために糊を付ける場合もあれば、生地に張りやコシを出すために糊を付ける場合もあります。

つまり糊付けは、糸や生地を次の工程で扱いやすくしたり、仕上がりの状態を整えたりするために行われる加工です。

ただし、糸への糊付けと生地への糊付けでは、目的や工程が異なります。

(一言解説)糊付けとは、糸や生地に糊剤を付けて、扱いやすさや仕上がりの状態を整える加工のことです。簡単に言えば、糸や生地に「張り」「すべり」「まとまり」「扱いやすさ」などを持たせるための加工です。

特徴

糊付けは、糸や生地に糊剤を付ける加工です。

主な特徴は以下の通りです。

・糸に対して行われる場合がある

・生地に対して行われる場合がある

・扱いやすさを高める目的がある

・毛羽立ちを抑える目的がある

・張りやコシを出す目的がある

・製織性や後工程の安定に関係する場合がある

・風合いや表面感に影響する場合がある

・後で糊抜きが必要になる場合がある

・乾燥工程と関係することが多い

糊付けは、単に糊を付ける作業ではなく、糸や生地の状態を工程に合わせて整える加工です。

ITomap的理解│初心者が誤解しやすいポイント

初心者が誤解しやすいのは、糊付けを「ベタベタした糊を付ける加工」と考えてしまう点です。

日常生活の糊は、紙を貼る、封筒を貼る、ものをくっつけるために使われます。

しかし繊維加工での糊付けは、くっつけることが主目的ではない場合が多いです。

たとえば、経糸に糊を付ける場合は、織機での摩擦や毛羽立ちを抑え、糸切れを減らして織りやすくする目的があります。

一方、生地に糊を付ける場合は、張り、コシ、表面感、扱いやすさなどを整える目的があります。

つまり、

・糸への糊付け:糸を扱いやすくし、製織や後工程を安定させるための糊付け

・生地への糊付け:生地に張りやコシ、表面感を与えるための糊付け

・サイジング:主に織布前の経糸に糊を付ける重要な前工程

・糊抜き:付けた糊を後工程で取り除く処理

として分けて考えると整理しやすくなります。

ITomap的には、糊付けは「ベタベタにする加工」ではなく、「糸や生地を目的に合わせて扱いやすい状態へ整える加工」として理解するとわかりやすいです。

糊付けには大きく2つある

糊付けには、大きく分けて糸への糊付けと、生地への糊付けがあります。

どちらも「糊を付ける」という点では同じですが、目的は異なります。

表にして整理すると、次のようになります。

糸への糊付け生地への糊付け
糸を扱いやすくするための加工生地の張りや風合いを整えるための加工
製織性や糸切れ防止に関係する仕上がりの見た目や手触りに関係する
後で糊抜きされる場合が多い仕上げ効果として残す場合もある

糊付けという言葉だけでは、糸の話なのか、生地の話なのかが分かりにくいことがあります。

そのため、現場では「何に対する糊付けなのか」を確認することが大切です。

糸への糊付け

糸への糊付けは、糸を扱いやすくしたり、製織中のトラブルを減らしたりするために行われます。

特に、織物の経糸は、織機の中で大きな張力や摩擦を受けます。

そのため、経糸に糊を付けることで、毛羽立ちを抑えたり、糸のまとまりをよくしたり、糸切れを減らしたりします。

糸への糊付けでは、次のような目的があります。

・毛羽を抑える

・糸のまとまりをよくする

・糸切れを減らす

・摩擦に耐えやすくする

・織機で扱いやすくする

・経糸の製織性を高める

・後工程での安定性を高める

また、綛染め後の糸に対して、扱いやすさや後工程での安定性を目的に糊付けが行われる場合もあります。

ただし、糸への糊付けは、どの糸にも同じように行うものではありません。

素材、番手、撚り、用途、織機、組織、後工程によって必要な糊の種類や付け方は変わります。

生地への糊付け

生地への糊付けは、生地に張りやコシ、表面感、扱いやすさを持たせるために行われることがあります。

染色整理加工や仕上げ加工の中で、生地に糊剤を付け、乾燥させることで、仕上がりの印象を整える場合があります。

生地への糊付けでは、次のような目的があります。

・生地に張りを出す

・生地にコシを出す

・表面感を整える

・扱いやすくする

・シワを目立ちにくくする

・仕立て映えをよくする

・検反や巻き取りをしやすくする

・用途に合った風合いに近づける

たとえば、パリッとした張りが欲しい生地、形を保たせたい生地、表面を整えて見せたい生地では、生地への糊付けが関係する場合があります。

一方で、柔らかさや落ち感を重視する生地では、糊が効きすぎると硬く感じたり、風合いが合わなくなったりすることがあります。

そのため、生地への糊付けは「付ければ良い」加工ではなく、用途に合った効かせ方が大切です。

サイジングとの関係

サイジングとは、主に織布前の経糸に糊を付ける工程のことです。

荒巻された経糸をサイジング工程に通し、糊付け、乾燥、ビーム巻きなどを行うことで、製織しやすい状態へ整えます。

サイジングは、糊付けの一種ですが、単なる糊付けというより、織布前の重要な準備工程です。

サイジングでは、次のような目的があります。

・経糸の毛羽を抑える

・経糸を摩擦に耐えやすくする

・糸切れを減らす

・織機での通りをよくする

・製織性を安定させる

・経糸をビームに巻き取る

ここで付けた糊は、織った後に糊抜きされることがあります。

そのため、サイジングは糊付けと糊抜きの両方につながる工程です。

詳しくは、「サイジング」として用語辞典の別記事で織布の前工程として詳しく整理する予定です。

糊抜きとの関係

糊付けと糊抜きは、セットで理解するとわかりやすい言葉です。

糊付けは、糸や生地に糊を付ける加工です。

糊抜きは、付けた糊を後工程で取り除く処理です。

特に、織布前に経糸へ付けた糊は、織り上がった後の染色や整理加工の前に取り除かれることがあります。

糊が残ったままだと、染色や加工に影響する場合があります。

たとえば、

・染料が入りにくくなる

・ムラの原因になる

・風合いが硬くなる

・後加工に影響する

・洗いで不安定になる

・生地本来の風合いが出にくくなる

といった問題につながる場合があります。

そのため、糊付けは「付ける工程」だけでなく、「後で抜く必要があるか」まで考えることが大切です。

乾燥・シリンダー乾燥機との関係

糊付けは、乾燥工程と関係することが多い加工です。

糸や生地に糊剤を付けた後、そのままでは水分が残っているため、乾燥させる必要があります。

生地への糊付けでは、シリンダー乾燥機などを使って乾燥する場合があります。

シリンダー乾燥機は、加熱された金属シリンダーに生地を接触させながら乾かす機械です。

糊付け後の乾燥では、単に水分を飛ばすだけでなく、糊の効き方、生地の張り、硬さ、表面感、後工程での扱いやすさが変わる場合があります。

つまり、

・糊を付ける

・余分な液を絞る

・乾燥する

・張りや風合いを確認する

という流れの中で、乾燥条件も仕上がりに関係します。

糊付けは、糊剤だけでなく、乾燥や熱条件まで含めて見る必要があります。

整理加工との関係

生地への糊付けは、整理加工や仕上げ加工の一部として行われることがあります。

整理加工とは、染色後や洗い後の生地を、用途に合わせて整える加工です。

その中で糊付けは、張り、コシ、表面感、扱いやすさを調整する加工として関係します。

整理すると、次のようになります。

・整理加工:生地を用途に合わせて整える加工全体

・糊付け:糊剤によって張りや扱いやすさを整える加工

・柔軟加工:生地の手触りや風合いをやわらかく整える加工

・幅出し:生地幅を規格や用途に合わせて整える加工

・乾燥:水分を飛ばしながら生地状態を整える工程

・テンター加工:幅、乾燥、熱処理、仕上げなどに関係する加工

糊付けは、整理加工の中で「どのような風合いにしたいか」「どのように扱いやすくしたいか」に関係する加工です。

現場での使われ方

現場では、糊付けは糸や生地の扱いやすさ、仕上がり、後工程の話で使われます。

たとえば、

・糊付けします

・糊を入れます

・糊が効いています

・糊が強すぎます

・糊が甘いです

・経糸に糊を付けます

・サイジングに回します

・糊付け後に乾燥します

・シリンダーで乾かします

・この糊は後で抜きます

・糊抜きが必要です

・張りを出すために糊を使います

・仕上げで少し糊を効かせます

といった形で使われます。

ただし、同じ「糊付け」という言葉でも、経糸のサイジングを指す場合と、生地仕上げの糊付けを指す場合があります。

そのため、現場では「糸への糊付けなのか」「生地への糊付けなのか」を確認することが大切です。

補足│糊付けは”ベタベタにする加工”ではない

糊付けは、名前だけ見ると、糸や生地をベタベタにする加工のように感じるかもしれません。

しかし繊維加工での糊付けは、糸や生地を目的に合わせて扱いやすくするための加工です。

経糸への糊付けでは、糸を織りやすくするために糊を使います。

生地への糊付けでは、張りやコシ、表面感を整えるために糊を使います。

また、糊は付けたままにする場合もあれば、後で糊抜きする場合もあります。

つまり糊付けでは、

・何に糊を付けるのか

・何のために糊を付けるのか

・どれくらい効かせるのか

・後で抜くのか

・仕上げとして残すのか

を合わせて考える必要があります。

ITomap的には、糊付けは「糸や生地をくっつけるための加工」ではなく、「糸や生地を次の工程や用途に合わせて扱いやすく整える加工」として理解するとわかりやすいです。

関連用語・記事

記事

・染色・整理加工とは何か|なぜ色を付けるだけでは終わらないのかを構造から理解する

・整理加工とは何か|なぜ生地は染めたあとに仕上げが必要なのかを構造から理解する

用語

整理加工

・仕上げ加工

・サイジング

・荒巻

経糸

緯糸

・糊抜き

乾燥

シリンダー乾燥機

テンター

幅出し

柔軟加工

風合い

・糸切れ

・製織性

生機

染色

湯通し

・精練

・マングル

・反物

・ビーム

・綛染め

まとめ

糊付けとは、糸や生地に糊剤を付けて、扱いやすさ、張り、強度、風合いなどを調整する加工です。

糊付けには、糸への糊付けと、生地への糊付けがあります。

糸への糊付けは、経糸の毛羽を抑えたり、糸切れを減らしたり、織機で扱いやすくしたりする目的で行われます。

特に、織布前の経糸に糊を付ける工程はサイジングと呼ばれ、製織性を安定させる重要な前工程です。

生地への糊付けは、張り、コシ、表面感、扱いやすさを整える目的で行われることがあります。

また、糊付け後には乾燥が必要になる場合があり、シリンダー乾燥機などの乾燥条件によって、糊の効き方や風合いが変わる場合があります。

付けた糊は、後工程で糊抜きされる場合もあります。

ITomap的には、糊付けは「ベタベタにする加工」ではなく、「糸や生地を次の工程や用途に合わせて、扱いやすく整える加工」と理解すると、サイジング、糊抜き、乾燥、整理加工との関係がわかりやすくなります。

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