耳(みみ)とは、織物の幅方向の端にできる、ほつれにくい部分のことです。
織物は、経糸の間に緯糸を通し、その緯糸を折り返したり、端で処理したりしながら作られます。
そのため、生地の両端には、中央部分とは少し違う構造の端部分ができます。
この端部分を「耳」と呼び、耳を残した状態の生地を「耳付き生地」と呼ぶことがあります。
(一言解説)耳とは、織物の端にできるほつれにくい部分です。耳付き生地とは、その耳を切り落とさずに残した生地のことです。「生地の端にある、織物として自然にできる処理部分」と考えると分かりやすくなります。
特徴
耳・耳付き生地には、次のような特徴があります。
・織物の幅方向の端にできる
・生地の端がほつれにくくなる
・織機や緯入れ方式によって耳の作られ方が変わる
・シャトル織機では、緯糸が折り返されるため耳ができやすい
・革新織機では、別の方法で耳処理を行う場合がある
・耳の状態は、生地幅や織り上がりの確認にも関係する
・デニムなどでは、耳付きであることが価値として扱われる場合がある
耳は、ただの端ではなく、織物がどのように作られたかを示す部分でもあります。
ITomap的理解│初心者が誤解しやすいポイント
初心者が誤解しやすいのは、
耳付き生地=必ず高級な生地
と考えてしまう点です。
たしかに耳付き生地は、セルビッジデニムなどで価値として扱われることがあります。
しかし本来の耳は、織物の端にできる構造上の部分であり、高級感そのものを意味する言葉ではありません。
つまり耳付き生地は、
高級品の印ではなく、
織物の端に耳を残した状態の生地
として理解すると分かりやすくなります。
現場での使われ方
現場では、耳は生地の幅方向や織り上がりを確認するときに使われる言葉です。
たとえば、
・耳の状態が安定しているか
・生地幅が設計通りか
・耳が引けていないか
・耳が波打っていないか
・耳部分に織り傷が出ていないか
・裁断時に耳を使うか切り落とすか
・耳付きのまま製品のデザインに活かすか
などが確認されます。
特にシャトル織機では、緯糸が端で折り返されることで、しっかりした耳ができやすくなります。
一方、革新織機ではシャトルのように緯糸がそのまま往復しないため、耳の作り方や端の処理が異なる場合があります。
そのため現場では、耳を「生地の端」としてだけでなく、織機の方式や緯糸の入り方が表れる部分として見ます。
シャトル織機と耳付き生地の関係
耳付き生地を理解するときは、シャトル織機との関係が重要です。
シャトル織機では、シャトルが緯糸を持って生地の端から端へ移動し、次の緯入れで反対方向へ戻ります。
このとき緯糸が端でつながるように折り返されるため、左右の端に自然な耳ができやすくなります。
そのため、シャトル織機で織られた生地では、耳付きであることが特徴として扱われることがあります。
ただし、耳付きだから必ずシャトル織機製である、または必ず高品質である、と単純には判断できません。
耳の有無だけでなく、織機の種類、糸、密度、組織、加工まで含めて見ることが大切です。
補足
耳は、生地の端にあるため、製品にするときには切り落とされることもあります。
一方で、デニムや風呂敷、手ぬぐい、特定の織物では、耳をそのまま活かすこともあります。
耳を活かすかどうかは、生地の用途、製品設計、縫製方法、デザインによって変わります。
また、耳の部分は中央部分と構造や張力の状態が異なることがあるため、裁断や縫製のときには注意が必要な場合があります。
つまり耳は、ただ残すか切るかだけでなく、織物の端としてどう扱うかを考える部分です。
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まとめ
耳とは、織物の幅方向の端にできる、ほつれにくい部分のことです。
耳付き生地とは、その耳を切り落とさずに残した生地のことです。
耳は「高級品の印」ではなく、織物の端にできる構造上の部分です。
特にシャトル織機では、緯糸が端で折り返されることで耳ができやすく、耳付き生地として価値を持つ場合があります。
織物を理解するうえでは、耳を「生地の端」としてだけでなく、織機の方式や緯糸の入り方が表れる部分として見ることが大切です。


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