コール天・コーデュロイとは何か│畝ができるまでを構造から理解する

繊維知識

  1. コール天・コーデュロイとは何か│最初に結論
  2. はじめに
  3. 図解:コール天・コーデュロイの基本構造
  4. なぜコール天・コーデュロイには畝があるのか
  5. 呼び名を見る視点│コール天とコーデュロイ
  6. 前回テーマ/関連テーマとの違い
  7. 身近なコール天と工業用のコール天はどうつながるのか
  8. 製造現場から見たコール天・コーデュロイとは何か
  9. コール天を見る時の基本│畝とパイル
    1. 畝を見る
    2. パイルを見る
  10. よく使われるコール天周辺の例
    1. 代表例1│コール天・コーデュロイ
    2. 代表例2│別珍
    3. 代表例3│タオル地
    4. 代表例4│太畝・細畝のコーデュロイ
  11. コール天・コーデュロイを作るにはどんな設備が必要か
    1. 織りに関わる設備
    2. 加工に関わる設備
  12. なぜ職人や加工場がいなくなると大変なのか
  13. 例外・誤解されやすいポイント│「織物なのに切って完成する」特殊性
    1. 誤解1│畝は織っただけで完成する
    2. 誤解2│カッチングは生地を裁断すること
    3. 誤解3│毛焼きは生地を燃やす危ない工程
    4. 誤解4│コーデュロイとタオル地は同じパイル生地である
    5. 誤解5│織機の種類だけで作れるかどうかが決まる
    6. 誤解6│コール天は古い呼び方で、コーデュロイが正式名称である
  14. コール天を見る視点は「見た目」ではなく「構造」
  15. まとめ│コール天・コーデュロイとは「パイルを切って畝を作る構造」
  16. よくある質問(FAQ)
  17. 次の記事│なぜ繊維業界の単位はこんなにも多いのか(次回公開予定)
  18. 合わせて読みたい記事
    1. 関連記事1│整理加工とは何か
    2. 関連記事2│織物とは何か
    3. 関連記事3│染色・整理加工とは何か
  19. 用語辞典で詳しく読む
    1. コール天・コーデュロイの基本構造
    2. コール天・コーデュロイの加工用語
    3. 織りと整理加工に関わる用語

コール天・コーデュロイとは何か│最初に結論

コール天・コーデュロイとは、地組織にパイル糸を織り込み、そのパイルカッチングして畝状の毛羽を作る、畝(うね)のあるカットパイル織物です。

一般的な商品説明や入門的な理解では、コール天とコーデュロイは、ほぼ同じ生地を指す言葉として説明されることが多くあります。

ただし、遠州産地など国産のコール天・コーデュロイに深く関わってきた地域では、「コール天」という呼び名に、単なる和名以上の意味や、産地としての誇りが込められている場合があります。

そのためこの記事では、検索や一般的な理解に合わせて「コーデュロイ」という言葉も使いながら、国産産地の文脈を尊重し、「コール天・コーデュロイ」と併記して整理していきます。

コール天・コーデュロイと聞くと、パンツ、ジャケット、シャツ、帽子、バッグなどに使われる、畝のあるあたたかそうな生地を思い浮かべる方が多いと思います。

しかし、あの畝(うね)は、最初から完成形で織り上がっているわけではありません。

コール天・コーデュロイでは、表面の畝は生地のたて方向に筋として見えますが、その畝は、よこ方向に織り込まれたパイル糸をカッチングすることで作られます。

コール天・コーデュロイは、

・地になる生地を織る

・よこパイル糸を織り込む

カッチングパイルを切る

・必要に応じて解毛毛焼き剪毛染色整理加工などを行う

といった工程を経て、見慣れた畝のある表面に近づいていきます。

つまり、コール天・コーデュロイは「畝模様のある生地」というより、織物構造と加工技術によってを作る生地です。

ITomap的には、コール天・コーデュロイを「畝のある秋冬っぽい生地」と見るだけでなく、「パイルを織り込み、切って、ほぐして、整えることで表面が作られる織物」として理解すると、かなり立体的に見えてきます。

そしてもう一つ大切なのは、「コール天」という呼び名を、ただ古い言い方として片づけないことです。

言葉の背景には、その生地を作ってきた産地、職人、加工場、設備、技術の積み重ねがあります。

この記事では、コール天・コーデュロイを構造から理解しながら、その裏側にある産地や加工技術の意味にも目を向けていきます。

はじめに

このテーマをITomapで扱う理由は、ただ「コーデュロイの説明記事を増やしたい」からではありません。

コール天・コーデュロイについては、すでに産地、加工場、企業、ブランド、求人ページなどで、貴重な情報が発信されています。

ITomapがしたいのは、それらの情報をただ書き写して、同じような説明をもう一つ増やすことではありません。

むしろ、そうした現場の発信や、技術を残そうとする動きに対して、

少しでも力になれる入口を作りたいと考えています。

コール天・コーデュロイは、製品として見ると身近な生地です。

秋冬のパンツ、ジャケット、シャツ、帽子、バッグなどで見かけることも多く、表面に畝があり、あたたかそうで、やわらかい印象を持つ方も多いと思います。

しかし、その畝のある表面がどのように作られているのかまで考える機会は、あまり多くありません。

そこには、過去のITomapで解説してきた、織り、カッチング解毛毛焼き染色整理加工など、複数の工程が関わります。

そしてネット上では、カッチング職人やコーデュロイ加工場など、担い手不足に関する情報や募集を見かけることがあります。

けれど、コーデュロイの製品だけを見ている人にとっては、

・なぜ専用の加工場が必要なのか

・なぜカッチング職人が必要なのか

・なぜ織っただけでは完成しないのか

・なぜ一つの工程がなくなると困るのか

・なぜ「コール天」という呼び名を大切にする人たちがいるのか

が見えにくいかもしれません。

ITomapでは、そこをつなぎたいと考えています。

アパレル学生、服が好きな人、生地に興味がある人が、まずコーデュロイという身近な素材から入り、その先にある織布、整理加工、職人技術、産地や加工場の存在へ目を向ける。

この記事は、そのための橋渡しです。

また、この記事では「コール天」と「コーデュロイ」という呼び名を、単純に「同じ意味」とだけ処理しません。

一般的には、コール天はコーデュロイを指す日本語の呼び名として使われることが多いです。

一方で、遠州産地など、国産のコール天・コーデュロイを支えてきた現場では、「コール天」という言葉が、地域で磨かれてきた技術や産地の自負と結びついている場合があります。

そのためITomapでは、

・検索上、一般に広く使われる「コーデュロイ」

・国産産地の文脈で大切にされてきた「コール天」

の両方を尊重しながら、記事内では「コール天・コーデュロイ」と併記して整理します。

前回の整理加工の記事では、生地は「織ったら終わり」「染めたら終わり」ではなく、幅、寸法、風合い、機能、表面感を整えることで使える状態に近づくと説明しました。

コール天・コーデュロイは、その具体例として非常にわかりやすい生地です。

なぜなら、見た目の特徴である畝そのものが、織った後の加工によって作られるからです。

図解:コール天・コーデュロイの基本構造

コール天・コーデュロイを理解するには、まず「地組織」と「パイル」を分けて考えるとわかりやすくなります。

【コール天・コーデュロイの基本構造】

地組織 → 生地の土台になる部分

よこパイル糸 → 畝になるために織り込まれる糸

カッチング → パイル糸を切って毛羽を作る

解毛 → 切った毛をほぐして立たせる

毛焼き整理加工 → 余分な毛羽や表面感を整える

のある表面 → コール天・コーデュロイらしい表情になる

コール天・コーデュロイは、単に縦と横の糸を交差させるだけで、あの畝が完成するわけではありません。

まず、生地の土台となる地組織があり、そこによこパイル糸が織り込まれます。

このパイル糸が、後の工程で切られ、ほぐされ、整えられることで、のある表面になります。

【畝ができるまでの流れ】

よこパイル糸を織り込む → カッチングパイルを切る → 解毛で毛をほぐす

→ 毛焼きなどで余分な毛羽を整える → のあるコール天・コーデュロイになる

この流れを知ると、コール天・コーデュロイは「織物」ではありますが、織りだけで完成する生地ではないことが見えてきます。

つまり、コール天・コーデュロイは、

織る技術 + 切る技術 + ほぐす技術 + 整える技術

すべてつながって成立する生地なのです。

なぜコール天・コーデュロイには畝があるのか

コール天・コーデュロイに畝があるのは、よこ方向に織り込まれたパイル糸を切り、列状の毛羽として立たせているからです。

畝とは、生地表面に見える筋状の盛り上がりのことです。

コーデュロイの表面を見ると、細い線や太い線が並んでいるように見えます。

この線状の盛り上がりが畝(うね)です。

初心者は、畝を「織り模様」や「型押し」のように考えがちです。

しかし、コール天・コーデュロイの畝は、単なる模様ではありません。

パイル糸を織り込み、そのパイルを切って毛羽を作り、毛をほぐし、表面を整えることで生まれる立体的な構造です。

つまり、コール天・コーデュロイの畝は、

・糸の並び

パイルの作り方

カッチングの精度

解毛の仕方

毛焼きや仕上げの状態

染色整理加工後の風合い

によって見え方が変わります。

同じコール天・コーデュロイでも、畝が細いもの、太いもの、ふっくらしたもの、すっきりしたもの、毛羽感が強いものなどがあります。

それは、単にデザインの違いではなく、構造と加工の違いでもあります。

そして、この畝を作るためには、単に「それらしい生地を織る」だけでは足りません。

畝になるためのパイル構造を織り込み、それを適切に切り、ほぐし、仕上げる工程が必要です。

この点に、コール天・コーデュロイという生地の面白さと難しさがあります。

呼び名を見る視点│コール天とコーデュロイ

コール天とコーデュロイは、一般的には同じ系統の畝のあるカットパイル織物を指す言葉として使われることが多いです。

アパレルや一般消費者向けの表現では、「コーデュロイ」の方がなじみやすい場合もあります。

一方で、産地や現場では「コール天」という呼び名が大切にされている場合があります。

ここで注意したいのは、「コール天=古い言い方」「コーデュロイ=新しい言い方」と単純に分けないことです。

たしかに、一般的なファッション用語としては「コーデュロイ」という表記を見る機会が多いかもしれません。

しかし、国産のコール天・コーデュロイに関わってきた産地では、「コール天」という言葉に、その土地で磨かれてきた技術や、先人たちが築いてきたものづくりへの誇りが重なっていることがあります。

つまり、呼び名は単なるラベルではありません。

どの言葉を使うかによって、

・海外由来の生地として見るのか

・日本で独自に発展してきた産地の生地として見るのか

・製品名として見るのか

・製造現場の技術として見るのか

が少し変わります。

この記事では、検索でたどり着きやすい「コーデュロイ」という言葉を使いながらも、産地の文脈を尊重して「コール天」という呼び名も併記します。

ITomap的には、コール天とコーデュロイを「同じ意味だからどちらでもよい」と雑に処理するのではなく、まずは同じ生地を指す言葉として理解し、そのうえで「コール天」という呼び名に込められた産地の歴史や誇りにも目を向けることが大切だと考えます。

ちなみに「コール天」という呼び名にも、由来があります。

諸説ありますが、一般には

英語の「corded velveteen(コーデッド・ベルベティーン)」、つまり「畝織りのビロード状の織物」を意味する言葉に由来すると説明されることがあります。

また、「コール」は corded/cord に由来する畝状の筋を、

「天」はビロードの和名である天鵞絨(てんがじゅう/ビロード)の「天」を指す、という説明もあります。

そのため「コール天」という呼び名は、単なる昔の呼び方というだけではなく、畝のあるビロード状の織物という特徴を、名前の中に含んだ言葉なのです。

前回テーマ/関連テーマとの違い

前回の整理加工の記事では、生地を製品として使える状態に近づけるために、乾燥幅出しテンター加工、柔軟加工防炎加工糊付け糊抜きなどが関係すると説明しました。

今回のコール天・コーデュロイは、整理加工の中でも特に「表面感」が重要になる具体例です。

整理加工では、

幅を整える

寸法を安定させる

風合いを整える

・機能を付ける

・表面を整える

といったことを行います。

コール天・コーデュロイでは、この中でも「表面を整える」という視点がとても重要です。

なぜなら、コーデュロイらしさは、色だけでも、素材だけでもなく、畝のある表面によって強く感じられるからです。

染色は、主に色を設計する工程です。

整理加工は、主に仕上がりを設計する工程です。

そしてコール天・コーデュロイ加工は、織り込まれたパイルを切り、ほぐし、整えることで、のある表面を作る工程です。

つまり、

染色=色を設計する工程

整理加工=仕上がりを設計する工程

コール天・コーデュロイ加工=畝のある表面を作る工程

と考えると、前回テーマとのつながりが見えやすくなります。

生地は、織った時点で終わるわけではありません。

染めた時点で終わるわけでもありません。

コール天・コーデュロイのように、織った後の加工によって、ようやくその生地らしい表情が見えてくるものもあります。

身近なコール天と工業用のコール天はどうつながるのか

身近なコール天・コーデュロイといえば、パンツ、ジャケット、シャツ、スカート、帽子、バッグなどがあります。

秋冬素材として見かけることも多く、少しあたたかみがあり、柔らかそうで、表面に筋のある生地という印象を持つ方も多いと思います。

しかし、製品として見るコール天・コーデュロイと、工業的に作られるコール天・コーデュロイの間には、かなり大きな距離があります。

製品として見ると、

・畝がある

・あたたかそう

・秋冬らしい

・カジュアルな印象がある

・少しレトロに見える

・やわらかい雰囲気がある

といった見え方になります。

一方、工業用に作られるコール天・コーデュロイを見ると、

・どのような糸を使うか

・どの密度で織るか

・どの畝幅にするか

・どの織機で織れる設計なのか

・どの開口装置(かいこうそうち)で対応できる組織なのか

・どのようにパイルを切るか

・どのように毛をほぐすか

・どのように毛羽を整えるか

染色後にどの風合いへ仕上げるか

といった設計や加工の積み重ねになります。

身近な服の表面に見える畝は、工場の中では、糸、織機カッチング解毛毛焼き染色乾燥幅出し柔軟加工などの結果として現れます。

つまり、身近なコール天・コーデュロイは、工業用の織布と整理加工が見える形になった素材です。

ここを理解すると、服の表面を見たときに、その奥にある工程が少しずつ見えてきます。

そして、呼び名についても同じことが言えます。

「コーデュロイ」という言葉だけを見ると、ファッション素材としての印象が強いかもしれません。

一方で「コール天」という言葉を見ると、国産産地や加工場、職人、地域の技術といった文脈が見えてくることがあります。

どちらか一方だけが正しいというより、入口が違うのだと考えると理解しやすくなります。

製造現場から見たコール天・コーデュロイとは何か

工業的に作られるコール天・コーデュロイとは、よこパイル糸を織り込んだ織物を、カッチング、解毛、毛焼き、染色、整理加工などによって畝のある表面に仕上げる生地です。

ここで大切なのは、コーデュロイを作るには、織りの設備だけでも、整理加工の設備だけでも足りないという点です。

コール天・コーデュロイには、少なくとも次のような工程や設備が関係します。

・糸の準備

・整経

・必要に応じた糊付けサイジング

・パイル構造を織るための織機

カッチング用の設備や刃物

解毛やブラッシングのための設備

毛焼き設備

染色設備

乾燥設備

テンターなどの整理加工設備

・検反、巻き取り、仕上げ設備

もちろん、工場や産地、素材、製品用途によって工程や設備構成は異なります。

すべての工程を同じ工場で行う場合もあれば、織布、カッチング、染色整理加工が別々の工場に分かれる場合もあります。

コール天・コーデュロイの難しさは、ただ織ることだけではありません。

織ったあとにパイルを正しく切り、毛を整え、染色や整理加工で製品に近い状態へ仕上げる必要があります。

特にカッチングは、パイルを切って畝を作る重要な工程です。

ここがうまくいかなければ、コール天・コーデュロイらしい畝の表情は出ません。

コール天・コーデュロイは、機械があれば自動的に完成するというより、構造を理解した人と、加工を見極める人がいて成立する生地だと考えるとわかりやすいです。

また、国産のコール天・コーデュロイでは、産地ごとの設備、加工順、仕上げ方、職人の判断が大きく関わります。

そのため、同じ「コーデュロイ」と呼ばれる生地であっても、どこで、どのように作られたかによって、風合いや表面感に違いが出ることがあります。

コール天を見る時の基本│畝とパイル

コール天・コーデュロイを見るときに重要なのは、「畝」と「パイル」です。

この2つを理解すると、コーデュロイの見え方がかなり変わります。

畝を見る

畝(うね)とは、生地の表面に並ぶ筋状の盛り上がりのことです。

コーデュロイの特徴は、この畝があることです。

畝には、太いものもあれば細いものもあります。

一般的に、畝が太いとカジュアルで存在感のある印象になりやすく、畝が細いと上品でなめらかな印象になりやすいです。

ただし、印象は畝の太さだけで決まるわけではありません。

素材、糸の太さ、密度、染色、毛羽の状態、仕上げ加工によっても変わります。

畝を見るときは、

・畝が太いか細いか

・畝がはっきりしているか

・毛羽が寝ているか立っているか

・表面が均一か

・光の当たり方で表情が変わるか

・手触りにふくらみがあるか

を見ると、コール天・コーデュロイの違いが見えやすくなります。

パイルを見る

パイルとは、生地表面に出るループ状または毛羽状の糸のことです。

タオル地のように輪になっているものもあれば、コーデュロイのように切られて毛羽になっているものもあります。

コール天・コーデュロイでは、パイル糸を織り込み、あとから切って毛羽を作ります。

この「切ったパイル」が、畝の表面を作ります。

つまり、コール天・コーデュロイはカットパイルの生地です。

カットパイルとは、パイルを切って毛羽状にしたものです。

これに対して、タオル地によく見られるような、輪のまま残っているパイルはループパイルと呼ばれます。

整理すると、次のようになります。

・パイル:生地表面に出るループや毛羽

・ループパイル:輪のまま残ったパイル

・カットパイル:切られて毛羽状になったパイル

・コール天・コーデュロイ:畝状に並ぶカットパイル織物

・タオル地:吸水性を目的にしたループパイルが多い生地

コール天・コーデュロイとタオル地は、どちらもパイルが関係します。

しかし、パイルの形と目的が違います。

コール天・コーデュロイは、畝の見え方や表面感を作るためにカットパイルが関係します。

タオル地は、吸水性や肌触りを高めるためにループパイルが関係します。

よく使われるコール天周辺の例

コール天・コーデュロイを理解するには、似た生地や関連するパイル生地と比べるとわかりやすくなります。

代表例1│コール天・コーデュロイ

コール天・コーデュロイは、畝のあるカットパイル織物です。

衣料では、パンツ、ジャケット、シャツ、スカート、帽子、バッグなどに使われます。

特徴は、表面に筋状のが並んでいることです。

この畝によって、光の当たり方や見る角度で表情が変わります。

また、毛羽があることで、やわらかさやあたたかみのある印象も出ます。

コール天・コーデュロイは、単に「秋冬っぽい生地」ではありません。

パイルを織り込み、切り、ほぐし、整えることで、あの表面が作られる織物です。

また、国産産地の文脈では、「コール天」という呼び名そのものに、地域で受け継がれてきた技術や誇りが重ねられることがあります。

そのためITomapでは、コール天・コーデュロイを、単なる生地名ではなく、織布と加工、産地の蓄積が見える素材として整理します。

代表例2│別珍

別珍(べっちん)とは、表面に短い毛羽を持つ、なめらかなパイル織物として扱われることが多い生地です。

コール天・コーデュロイと同じく、パイルやカットの考え方が関係します。

ただし、別珍はコーデュロイのようなはっきりした畝を持つ生地ではありません。

コーデュロイが畝のある表面なのに対して、別珍は比較的なめらかで、面として毛羽がそろった表情になります。

簡単な表で整理すると、次のようになります。

コーデュロイ別珍
畝がある畝が目立たず、面としてなめらかな毛羽がある
筋状の凹凸が特徴光沢感やなめらかな表面感が特徴

どちらも、パイルやカット、仕上げが関係します。

初心者には、コーデュロイは「筋があるパイル生地」、別珍は「面で毛羽がそろったパイル生地」と考えると違いが見えやすくなります。

ただし、別珍の定義や製法の説明は、産地、素材、製品分野によって表現が変わる場合があります。

また、遠州産地の文脈では、別珍という呼び名にも、単なる素材名以上の歴史や技術の蓄積が関わります。

ITomapでは、別珍を「コーデュロイと比較すると、畝ではなく面の毛羽感が特徴として見えやすいパイル織物」として整理します。

代表例3│タオル地

タオル地は、パイルが関係する身近な生地です。

ただし、コール天・コーデュロイとは目的が大きく異なります。

タオル地では、表面にループ状のパイルがあり、そのループによって水を吸いやすくしたり、ふんわりした感触を出したりします。

一方、コール天・コーデュロイでは、パイルを切って毛羽にし、畝のある表面を作ります。

表で整理すると、次のようになります。

タオル地コーデュロイ
ループパイルが多いカットパイル
吸収性が重要畝の見え方や表面感が重要
輪のパイルが水を含みやすい切った毛羽が畝の表情を作る

ただし、タオルにもシャーリングタオルのように、ループをカットして表面をなめらかにしたものがあります。

そのため「タオル地=絶対にループのまま」と覚えるより、タオル地では吸水や肌触りを目的にパイルが使われ、コーデュロイでは畝のある表面を作るためにパイルが使われる、と理解すると整理しやすいです。

代表例4│太畝・細畝のコーデュロイ

コーデュロイには、畝の太さによる違いがあります。

太い畝のものは、表情がはっきりしていて、カジュアルな印象や素材感が強く出やすいです。

細い畝のものは、表面がすっきり見えやすく、比較的上品な印象になりやすいです。

ただし、太畝と細畝の違いは、見た目だけではありません。

畝の太さによって、

・表面の凹凸感

・光の見え方

・手触り

・厚みの感じ方

・製品にしたときの印象

・裁断や縫製時の見え方

が変わります。

コール天・コーデュロイを見るときは、「何色か」だけでなく、「畝がどのくらい太いか」にも注目すると、生地の特徴がわかりやすくなります。

なお、この畝の太さ・細かさは、業界では「ウエル数」や「畝数」で表されることがあります。

ウエル(Well)とは、コーデュロイでは畝そのものを指す言葉です。

コーデュロイの「○ウエル」とは、1インチ(2.54cm)の中に畝が何本並んでいるかを示す数え方です。

たとえば、1インチの中に6本の畝があれば6ウエル、14本の畝があれば14ウエルというように表します。

数字が大きいほど畝は細かくなり、数字が小さいほど畝は太くなります。

つまり、太コール・細コールといった感覚的な呼び方の裏側には、「1インチあたりに畝が何本あるか」という、数で確認できる見方があるのです。

なお、編物でも「ウェール」という言葉が使われますが、ここではコーデュロイの畝数を表す文脈で使っています。

このように、繊維業界では「太い・細い」といった感覚的な表現の裏に、きちんとした単位や数え方が存在していることが少なくありません。

この「単位」という視点については、次回の記事で詳しく扱っていきます。

コール天・コーデュロイを作るにはどんな設備が必要か

コール天・コーデュロイを作るには、織りの設備と、織った後の加工設備の両方が関係します。

ここが非常に重要です。

コーデュロイは、普通の平らな生地をあとから加工するだけで作れるものではありません。

まず、コーデュロイになるためのパイル構造を織り込む必要があります。

そのうえで、パイルを切り、ほぐし、整える加工が必要になります。

織りに関わる設備

織りの段階では、地組織とパイル糸を設計通りに織り込む必要があります。

関係するものとしては、次のような設備や工程があります。

・糸の準備

・整経

・荒巻

・必要に応じたサイジング

織機

・開口装置

経糸緯糸、パイル糸の管理

・織り密度の調整

生機の検査

ここで気になるのが、「どんな織機で織れるのか」という点です。

コール天・コーデュロイは、シャトル織機でなければ絶対に織れない、レピア織機でなければ絶対に織れない、という単純な話ではありません。

シャトルか、レピアか、エアジェットか、ウォータージェットかという分類は、主に緯糸をどのように入れるかという違いです。

一方、コーデュロイで重要になるのは、緯糸の入れ方だけでなく、地組織とよこパイル糸をどう組み合わせて織るかです。

そのため、見るべきポイントは、

・パイル組織を織れる設計になっているか

・必要な経糸の開口が作れるか

・必要な綜絖(そうこう)枚数や開口機構があるか

・パイル糸を安定して入れられるか

・密度やテンションを管理できるか

・後のカッチングを前提にした生機が作れるか

です。

開口装置で言えば、タペットでも単純な繰り返し組織で対応できる場合があると考えられます。

一方、畝の設計、組織の自由度、切り替え、柄や変化を持たせたい場合などは、ドビーの方が対応しやすい場面があります。

ただし、実際に織れるかどうかは、織機の種類だけで決まりません。

同じレピア織機でも、仕様や開口装置、綜絖枚数、織幅、密度、糸使い、工場のノウハウによってできることは変わります。

同じように、シャトル織機だから必ずできる、タペットだから必ずできない、という単純な判断もできません。

ITomap的には、コーデュロイの織りを考えるときは、

「シャトルかレピアか」だけではなく、

「パイル構造を安定して織れる設備と設計があるか」

を見ると理解しやすいです。

重要なのは、コーデュロイは「畝をあとから刻む」のではなく、畝になるためのパイル構造をあらかじめ織り込んでいるという点です。

そのため、織布段階での設計が大切です。

どの糸を使うか、どの密度で織るか、どのようにパイル糸を入れるかによって、その後のカッチングや仕上げのしやすさも変わります。

加工に関わる設備

織り上がっただけでは、まだコール天・コーデュロイらしい畝の表面は完成していません。

その後に、表面を作るための加工が必要です。

関係する設備や工程には、次のようなものがあります。

カッチング設備

解毛機、ブラッシング設備

毛焼き設備

剪毛設備

染色設備

乾燥

テンター

柔軟加工設備

・検反機

・巻き取り設備

カッチングでは、織り込まれたパイルを切ります。

解毛では、切った毛をほぐして立たせます。

毛焼きでは、余分な毛羽を焼いて表面を整えます。

その後、染色や整理加工によって、色、幅、風合い、表面感を整えていきます。

つまり、コール天・コーデュロイを作るには「織る力」と「加工する力」の両方が必要です。

どちらか一方だけでは、コール天・コーデュロイらしい完成形には近づきません。

なぜ職人や加工場がいなくなると大変なのか

コール天・コーデュロイは、工程を並べるだけなら簡単そうに見えるかもしれません。

パイルを織る。

切る。

ほぐす。

焼く。

染める。

仕上げる。

文字にすると、たったこれだけです。

しかし、実際にはこの一つひとつの工程に、設備と判断が必要です。

特にカッチングは、コーデュロイの表面を作るうえで非常に重要な工程です。

パイルを切る位置が悪ければ、畝がきれいに出ません。

切り方が不安定であれば、毛羽の高さや見え方が乱れます。

生機の状態、糸の種類、密度、テンションパイルの入り方、刃物の状態、加工速度など、いくつもの条件が関係します。

これは、ボタンを押せば誰でも同じ結果になる工程ではありません。

もちろん機械は必要です。

けれど、機械だけがあっても、そこに何を通し、どこを見て、どの条件で動かすかを判断できる人がいなければ、コーデュロイらしい表面には近づきません。

職人がいなくなるということは、単に「作業する人が一人減る」という話ではありません。

その人が持っていた、

生機を見て状態を読む力

・刃物の状態を見極める力

パイルの切れ方を判断する力

・毛羽の立ち方を見て次工程を考える力

・失敗しそうな気配を早めに察知する力

・素材やロットごとの違いに合わせる力

・工場の設備でできることとできないことを判断する力

一緒に失われる可能性があります。

さらに大変なのは、その技術が失われると、あとから必要になったときにすぐ戻せないことです。

機械をもう一度置けば終わり、という話ではありません。

設備を動かす人がいて、その人が経験を積み、失敗と調整を重ね、ようやく安定して加工できるようになります。

コール天・コーデュロイは、服屋さんの店頭では一枚の生地、一着のパンツ、一つの帽子として見えます。

でもその裏側には、織る人、切る人、ほぐす人、焼く人、染める人、仕上げる人がいます。

そのどこかが途切れると、「作れるはずの生地」が作れなくなることがあります。

これはかなり大きなことです。

だから、カッチング職人や加工場の担い手不足は、単なる一つの職種の問題ではありません。

コール天・コーデュロイという生地の選択肢そのものが、将来細くなっていく問題でもあります。

ただし、ITomapがこの記事で目指したいのは、危機感をあおることではありません。

特定の産地や加工場を外から評価することでもありません。

ただ、コール天・コーデュロイの畝を見たときに、

「この表面は、誰かが織り、誰かが切り、誰かが整えて作っている」

想像できる人を少しでも増やすことです。

その理解が、産地や加工場、職人、募集情報に目を向けるきっかけになれば、ITomapとしても意味があると考えています。

例外・誤解されやすいポイント│「織物なのに切って完成する」特殊性

コール天・コーデュロイで誤解されやすいのは、「織物なのだから、織り上がった時点で表面も完成している」と思われやすいことです。

しかし、コーデュロイは織物でありながら、織った後に切ることで表面が完成に近づく特殊な生地です。

誤解1│畝は織っただけで完成する

コーデュロイのは、織っただけで完成するわけではありません。

よこパイル糸を織り込み、そのパイルをカッチングで切ることで、畝になる毛羽が作られます。

その後、解毛毛焼きなどによって、毛羽の状態を整えます。

つまり、は織りと加工の両方によって作られます。

誤解2│カッチングは生地を裁断すること

カッチングと聞くと、服を作るときに生地を裁断することを思い浮かべるかもしれません。

しかし、コーデュロイでいうカッチングは、服のパーツに切る裁断ではありません。

織り込まれたパイル糸を切り、畝になる毛羽を作る工程です。

つまり、切っているのは「製品の形」ではなく「生地表面のパイル」です。

誤解3│毛焼きは生地を燃やす危ない工程

毛焼きは、余分な毛羽を焼いて整える工程です。

名前だけ見ると、生地を燃やしてしまうように感じるかもしれません。

しかし、目的は生地全体を燃やすことではありません。

表面に残った余分な毛羽を処理し、表面感を整えるための工程です。

もちろん、素材や条件によって管理が必要な工程です。

だからこそ、機械や条件、扱う人の判断が重要になります。

誤解4│コーデュロイとタオル地は同じパイル生地である

コーデュロイとタオル地は、どちらもパイルが関係します。

しかし、同じものではありません。

コーデュロイは、パイルを切って畝を作るカットパイルの織物です。

タオル地は、吸水性やふんわり感を目的に、ループ状のパイルを持つことが多い生地です。

同じパイルでも、形と目的が違います。

誤解5│織機の種類だけで作れるかどうかが決まる

コーデュロイを織るときに、「シャトルならできる」「レピアならできる」「ドビーがあればできる」「タペットではできない」といったように、設備名だけで判断したくなるかもしれません。

しかし、実際にはもう少し複雑です。

シャトルかレピアかは、主に緯糸の入れ方に関係します。

ドビーかタペットかは、主に開口の自由度や組織の複雑さに関係します。

コーデュロイで重要なのは、パイル構造を安定して織れるか、後のカッチングに合う生機を作れるかです。

そのため、設備名だけでなく、織機の仕様、開口装置、組織設計、糸使い、密度、テンション、加工場とのつながりまで含めて見る必要があります。

誤解6│コール天は古い呼び方で、コーデュロイが正式名称である

コール天は、単に古い呼び名として片づけられる言葉ではありません。

一般的なファッション用語としては、コーデュロイという表記の方がよく使われる場面もあります。

しかし、国産産地や現場の文脈では、「コール天」という呼び名が、その土地で受け継がれてきた技術やものづくりへの誇りと結びついている場合があります。

そのため、初心者はまず、

コール天とコーデュロイは、一般には同じ系統の生地を指すことが多い

と理解したうえで、

産地や現場では、「コール天」という呼び名に特別な意味が込められている場合がある

と覚えておくとよいです。

ITomap的には、呼び名の違いを優劣で見るのではなく、言葉の背景にある産地や技術の歴史まで含めて理解することが大切です。

コール天を見る視点は「見た目」ではなく「構造」

コール天・コーデュロイを見るときは、ただ「畝がある」「秋冬っぽい」「あたたかそう」と見るだけではなく、その畝がどう作られているかを見ると理解が深まります。

見るべき視点は、次の通りです。

はどのようにできているか

パイルは切られているか

・毛羽は立っているか寝ているか

の太さはどうか

・表面に光沢や陰影があるか

カッチング解毛が関係しているか

毛焼きなどで表面が整えられているか

染色整理加工でどのような風合いに仕上げているか

・どの設備と人の判断で作られているか

・その呼び名にどのような産地の背景があるか

たとえば、同じ茶色のコーデュロイでも、が太いものと細いものでは印象が変わります。

毛羽の立ち方や光の当たり方によっても、表情が変わります。

硬めに仕上げれば、形が出やすい生地になります。

柔らかく仕上げれば、着心地や落ち感が出やすくなります。

また、「コール天」と呼ぶか「コーデュロイ」と呼ぶかによって、見えてくる背景が変わることもあります。

製品としての見え方だけでなく、産地、加工場、職人、設備、歴史を含めて見ると、一枚の生地の奥行きが変わります。

つまり、コール天・コーデュロイは、見た目の畝だけで判断するのではなく、構造と加工、そして産地の積み重ねの結果として見ることが大切です。

まとめ│コール天・コーデュロイとは「パイルを切って畝を作る構造」

コール天・コーデュロイとは、地組織にパイル糸を織り込み、そのパイルをカッチングして畝状の毛羽を作る、畝のあるカットパイル織物です。

一般的な入門理解では、コール天とコーデュロイはほぼ同じ生地を指す言葉として説明されることが多いです。

ただし、国産産地や現場の文脈では、「コール天」という呼び名に、単なる和名以上の意味や、産地としての誇りが込められている場合があります。

そのため、この記事では「コール天・コーデュロイ」と併記して整理しました。

コール天・コーデュロイの畝は、最初から完成形で織り上がっているわけではありません。

よこパイル糸を織り込み、カッチングで切り、解毛で毛をほぐし、毛焼きなどで余分な毛羽を整えることで、見慣れた畝のある表面に近づいていきます。

コール天・コーデュロイを作るには、織りの設備だけでなく、カッチング解毛毛焼き染色整理加工などの設備や技術が関係します。

織機についても、シャトルレピアかだけで決まるものではなく、パイル構造を安定して織れるか、必要な開口が作れるか、後のカッチングに合う生機を作れるかが重要になります。

別珍(べっちん)とは、コーデュロイと同じくパイルやカットの考え方が関係する生地ですが、コーデュロイのようなはっきりした畝ではなく、面としてなめらかな毛羽感が特徴として見えやすい生地です。

タオル地もパイルが関係する生地ですが、コーデュロイがカットパイルによって畝を作るのに対して、タオル地はループパイルによる吸水性やふんわり感が重要になることが多いです。

コール天・コーデュロイは、織る人、切る人、ほぐす人、焼く人、染める人、仕上げる人がつながって成立する生地です。

どこか一つの工程や担い手が失われると、その生地を作る力そのものが細くなっていく可能性があります。

ITomap的には、コール天・コーデュロイは「畝のある生地」ではなく、「パイルを織り込み、切り、ほぐし、整えることで畝のある表面を作る生地」と理解すると、織布と整理加工、そして職人や加工場の役割が見えやすくなります。

そして、「コール天」という呼び名を、ただの古い言い方としてではなく、産地や加工技術の積み重ねを含んだ言葉として受け止めると、この生地の見え方はさらに深くなります。

よくある質問(FAQ)

Q
コール天とコーデュロイの違いは何ですか?
A

コール天とコーデュロイは、一般的には同じ系統の畝のあるカットパイル織物を指す言葉として使われることが多いです。

ただし、産地や現場の文脈では、「コール天」という呼び名に、国産産地で受け継がれてきた技術や誇りが込められている場合があります。

そのため初心者はまず、

コール天とコーデュロイは、一般にはほぼ同じ生地を指すことが多い

と理解し、そのうえで、

産地では「コール天」という呼び名が大切にされることがある

と覚えておくとよいです。

Q
なぜITomapでは「コール天・コーデュロイ」と併記しているのですか?
A

ITomapでは、検索や一般的な理解に合わせて「コーデュロイ」という言葉を使いながら、国産産地の文脈を尊重して「コール天」も併記しています。

一般消費者や学生にとっては、コーデュロイという言葉の方がなじみやすい場合があります。

一方で、遠州産地などでは「コール天」という呼び名が、地域の技術や歴史と結びついている場合があります。

そのため、どちらか一方に寄せるのではなく、この記事では「コール天・コーデュロイ」と並べて整理しています。

Q
「コール天」という名前の由来は何ですか?
A

「コール天」という名前は、英語の「corded velveteen(コーデッド・ベルベティーン)」に由来すると説明されることがあります。

corded は畝状・コード状の筋を、velveteen はビロード状の織物を意味する言葉です。また、「天」はビロードの和名である天鵞絨(てんがじゅう/ビロード)の「天」を指す、という説明もあります。

そのため「コール天」という呼び名は、単なる略称というだけではなく、畝のあるビロード状の織物という特徴を、名前の中に含んだ言葉だと考えることができます。

Q
コーデュロイと別珍の違いは何ですか?
A

コーデュロイは、表面に畝があるカットパイル織物です。

別珍は、表面に短い毛羽を持ち、比較的なめらかな面として見えるパイル織物として扱われることが多いです。

簡単に言えば、コーデュロイは「筋状の畝がある生地」、別珍は「面として毛羽がそろったなめらかな生地」と考えるとわかりやすいです。

どちらもパイルやカット、仕上げが関係しますが、表面の見え方が異なります。

Q
コーデュロイとタオル地の違いは何ですか?
A

コーデュロイとタオル地は、どちらもパイルが関係する生地です。

しかし、パイルの形と目的が違います。

コーデュロイは、パイルを切って毛羽にし、畝のある表面を作るカットパイル織物です。

タオル地は、ループ状のパイルによって水を吸いやすくしたり、ふんわり感を出したりすることが多い生地です。

つまり、コーデュロイは見た目や表面感のためのカットパイル、タオル地は吸水性や肌触りのためのループパイルが中心と考えると整理しやすくなります。

Q
なぜコーデュロイには畝があるのですか?
A

コーデュロイに畝があるのは、よこパイル糸を織り込み、そのパイルをカッチングで切って毛羽を作るからです。

切られたパイルの毛羽が列状に立ち、畝のある表面になります。

その後、解毛で毛をほぐし、毛焼きなどで余分な毛羽を整えることで、コーデュロイらしい表面に近づいていきます。

畝は単なる模様ではなく、パイル構造と加工によって作られる立体的な表面です。

Q
畝の太さはどうやって表しますか?
A

コーデュロイの畝の太さ・細かさは、「ウエル数」や「畝数」で表されることがあります。

ウエル(Well)とは、コーデュロイでは畝を指す言葉です。「○ウエル」とは、1インチ(2.54cm)の中に畝が何本並んでいるかを示す数え方で、数字が大きいほど畝は細かくなり、数字が小さいほど畝は太くなります。

たとえば、6ウエルは太めの畝、14ウエルは細かめの畝というように、見た目や風合いの違いを数で確認するために使われます。

なお、編物でもウェールという言葉が使われますが、ここではコーデュロイの畝を表す文脈で使っています。

Q
カッチングとは何ですか?
A

カッチングとは、コール天・コーデュロイなどで、織り込まれたパイル糸を切り、畝になる毛羽を作る工程です。

服を作るときの裁断とは違い、生地をパーツに切る工程ではありません。

コーデュロイの表面にあるパイルを切り、畝の毛羽を作るための加工です。

コール天・コーデュロイの表面を作るうえで非常に重要な工程です。

Q
解毛とは何ですか?
A

解毛(かいもう)とは、カッチングで切ったパイルの毛をほぐし、寝ている毛や固まった毛を立たせて整えやすくする工程です。

カッチングでパイルを切っただけでは、毛が寝ていたり、まとまっていたりする場合があります。

解毛によって毛をほぐすことで、その後の毛焼きや仕上げで表面を整えやすくなります。

Q
毛焼きとは何ですか?
A

毛焼きとは、生地表面の余分な毛羽を焼いて整える加工です。

コール天・コーデュロイでは、カッチングや解毛の後に、余分な毛羽を処理して表面感を整える目的で関係する場合があります。

毛焼きは生地全体を燃やす加工ではありません。

表面の不要な毛羽を処理し、見た目や手触りを整えるための加工です。

Q
コーデュロイを作るのにはどんな織機が必要ですか?
A

コーデュロイを作るには、パイル構造を安定して織れる織機と組織設計が必要です。

シャトル織機かレピア織機かだけで決まるものではありません。

シャトル、レピアなどは主に緯糸の入れ方の違いであり、コーデュロイでは地組織とパイル糸をどう織り込むかが重要になります。

開口装置については、単純な繰り返し組織であればタペットで対応できる場合も考えられますが、畝の設計や組織の自由度を考えると、ドビーの方が対応しやすい場面があります。

実際に織れるかどうかは、織機の仕様、綜絖枚数、開口機構、密度、糸使い、工場のノウハウによって変わります。

Q
コーデュロイを作るにはどんな加工設備が必要ですか?
A

コーデュロイを作るには、織った後の加工設備も重要です。

代表的には、カッチング設備、解毛やブラッシングの設備、毛焼き設備、染色設備、乾燥設備、テンターなどの整理加工設備が関係します。

コーデュロイは、織れば終わりの生地ではありません。

織り込まれたパイルを切り、毛をほぐし、余分な毛羽を整え、染色や整理加工で仕上げることで、見慣れた畝のある表面に近づいていきます。

Q
コーデュロイは織っただけで完成しますか?
A

コーデュロイは、織っただけでは完成形にはなりません。

まず、地組織とよこパイル糸を織り込みます。

その後、カッチングでパイルを切り、解毛で毛をほぐし、毛焼きなどで余分な毛羽を整えます。

さらに、染色や整理加工によって、色、幅、風合い、表面感を仕上げます。

そのため、コーデュロイは「織った後の加工」によって表情が作られる生地です。

Q
パイルとカットパイルの違いは何ですか?
A

パイルとは、生地表面に出るループ状または毛羽状の糸のことです。

カットパイルとは、そのパイルを切って毛羽状にしたものです。

タオル地によく見られるような輪のままのパイルは、ループパイルと呼ばれます。

コーデュロイは、パイルを切って畝のある表面を作るため、カットパイルの生地として理解するとわかりやすいです。

Q
なぜカッチング職人や加工場が重要なのですか?
A

カッチング職人や加工場が重要なのは、コーデュロイの畝が、パイルを正しく切る工程によって作られるからです。

パイルを切る位置、刃物の状態、生機のテンション、加工速度、毛羽の立ち方などによって、仕上がりの表情は変わります。

機械があっても、状態を見て判断できる人がいなければ、安定した加工は難しくなります。

職人や加工場が失われるということは、単に作業する人が減るだけではなく、コーデュロイを作るための判断や経験、設備を使いこなす力が失われることでもあります。

次の記事│なぜ繊維業界の単位はこんなにも多いのか(次回公開予定)

次の記事では、繊維業界で使われるさまざまな単位について整理していきます。

コール天・コーデュロイの構造や工程を見ていくと、「糸」「密度」「幅」「加工条件」「重さ」など、さまざまな数値や単位が関係していることに気づきます。

実際の繊維業界では、

番手

・デニール

・テックス

・オンス

・匁(もんめ)

・目付

・インチ

・鯨尺、鯨寸

・打ち込み本数

・m単価、kg単価、反単位

など、多くの単位が使われています。

なぜこれほど多くの単位が存在するのでしょうか。

それは、繊維が「糸」「織り」「染色加工」「整理加工」「製品」といった複数の工程をまたぎ、それぞれの現場で見ているものが違うからです。

糸を扱う現場では、糸の太さや重さが重要になります。

織る現場では、密度、幅、打ち込み、筬などが重要になります。

染色加工や整理加工では、長さ、重さ、幅、加工条件が重要になります。

製品になると、枚数、サイズ、見た目、着用感が重要になります。

つまり、単位が多いのは、繊維業界がバラバラだからではありません。

糸、生地、加工、製品という、それぞれの現場で見ているものが違うからです。

次の記事では、

・なぜ繊維業界には単位が多いのか

・番手やデニールは何を表しているのか

・目付やオンスは生地の何を見ているのか

・なぜ同じ「重さ」でも表し方が違うのか

・産地や工程ごとに単位が残る理由

を、歴史と構造から整理していきます。

ITomap的には、繊維業界の単位を覚える入口は、換算表を丸暗記することではありません。

まず「その単位は、何を測るために使われているのか」を見ることです。

▶ なぜ繊維業界の単位はこんなにも多いのか(次回公開予定)

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この記事とあわせて読むと、内容をより立体的に理解しやすくなります。

関連記事1│整理加工とは何か

[整理加工とは何か|なぜ生地は染めたあとに仕上げが必要なのかを構造から理解する]

この記事の前提になる基礎知識を整理した記事です。

整理加工を理解しておくことで、コール天・コーデュロイの表面が、織った後の加工によって作られることがより分かりやすくなります。

コール天・コーデュロイは、織っただけで完成する生地ではありません。

カッチング、解毛、毛焼き、染色、乾燥、幅出し、風合い調整などが関わるため、整理加工の考え方を先に押さえておくと理解しやすくなります。

整理加工とは何かを読む

関連記事2│織物とは何か

[織物とは何か|経糸と緯糸の交差から布の構造を理解する]

本記事で出てきたコール天・コーデュロイを、織物の構造から理解するための記事です。

経糸と緯糸の基本を理解しておくと、地組織、よこパイル糸、畝の関係が見えやすくなります。

コーデュロイは見た目の表面感が強い生地ですが、土台には織物としての構造があります。

そのため、まず「織物とは何か」を理解しておくと、コール天・コーデュロイの構造もつかみやすくなります。

織物とは何かを読む

関連記事3│染色・整理加工とは何か

[染色・整理加工とは何か|なぜ色を付けるだけでは終わらないのかを構造から理解する]

コール天・コーデュロイを、染色や仕上げの視点から理解するための記事です。

コーデュロイの表情は、畝の構造だけでなく、染色、乾燥、幅出し、柔軟加工などによっても変わります。

同じように見える生地でも、素材、染料、整理加工、風合い調整によって、最終的な印象や使われ方は変わります。

染色・整理加工の全体像を知っておくと、コール天・コーデュロイが「織ったあとに仕上げられる生地」であることがより理解しやすくなります。

染色・整理加工とは何かを読む

用語辞典で詳しく読む

この記事に出てきた専門用語は、用語辞典カテゴリで個別に整理していく予定です。

まず全体像をこの記事でつかみ、気になる用語を辞典記事で確認すると理解しやすくなります。

コール天・コーデュロイの基本構造

コール天/コーデュロイ

畝(うね)

パイル

カットパイル

ループパイル

・別珍 (記事内:よく使われるコール天周辺の例の代表例2で解説)

・タオル地

コール天・コーデュロイの加工用語

カッチング

解毛

毛焼き

・起毛

剪毛

整理加工

・表面加工

風合い

織りと整理加工に関わる用語

地組織

織物

経糸

緯糸

・パイル糸 (用語辞典「パイル」の中で触れています。)

生機

シャトル織機

レピア織機

・タペット

・ドビー

・開口装置

サイジング

糊付け

糊抜き

染色

乾燥

テンター

幅出し

柔軟加工

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